小スライド 意外と知らない時計知識

【Q102】そもそも“パワーリザーブ”って具体的に何?

A.機械式時計の駆動時間のこと

 機械式時計は、動力源であるゼンマイがほどける力を利用して針を運針させる。
 そして、一度ゼンマイが完全に巻き上がった状態から、ほどけきるまでのおおよその時間を、“パワーリザーブ”という。

 機械式時計のスペックでよく、約38、42、72時間持続というのを目にするが、これがいわゆるパワーリザーブの駆動時間のことである。そのためパワーリザーブが長ければ長いほど、ぜんまいを巻く操作をせずとも時計が止まる心配はない。

 これまでパワーリザーブは約2日間程度(約38、42時間)が一般的であったのだが、最近では約3日間(約70時間)もつロングパワーリザーブモデルも数多く出てきている。
 これによって土日に時計を着けなくても、月曜日の朝に時計が止まっているということがなくなるため、近年ひとつの目安として重視されてきているようだ。
 70時間以上のロングパワーリザーブモデルはこれまでウン十万、ウン百万の高級時計が主流だったが、昨今はスウォッチグループのブランドを筆頭に、10万円台の価格の時計にも見られるようになった。

ETAを有するスウォッチグループ傘下のブランドのように、ムーヴメント開発環境に恵まれたブランドは、約80時間パワーリザーブが通常装備となりつつある

 

文◎松本由紀(編集部)

 

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