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これからの季節に、ちょっとひと味違うオイパペはいかが!|ロレックス通信 No.166

 さすがに10月に入りやっと朝晩は涼しくなってきた。そんなこれからの季節にこそ楽しみたいのがアンティークウオッチである。そこで久しぶりに今回はアンティークのロレックスを取り上げたいと思う。

 そしてアンティークのロレックスのなかでも最もベーシックで初心者にもおすすめの1500系レファレンスのオイスターパーペチュアルだ。傑作と呼ばれる安定感抜群の自動巻きムーヴメント、Cal.1575(初期はCal.1565)を搭載し、1960年代半ばぐらいから80年代後半まで製造されたロングセラーだ。そのため比較的に流通していることから見つけやすい。

シルバー文字盤のRef.1501。通常付く3連のオイスターブレス(下の写真)だと少しスポーティさも感じるが、5連のジュビリーブレスに換えるとだいぶ雰囲気が変わる

 そんな1500系レファレンスのなかでもおすすめしたいのが、ベゼルの仕上げが通称“エンジンターンド”と呼ばれるタイプのRef.1501である。ちなみに、通常のツルッとした鏡面仕上げのベゼルタイプはRef.1500だ。

 エンジンターンとは、機械による装飾などの表面加工のひとつ。旋盤を使って金属の表面に細かい幾何学的な装飾を刻み込む加工のことをこう呼ぶそうで、球面でも付けられるため万年筆やライターなどにも良く使われる装飾とのこと。ただ、ロレックスの場合は都市伝説かもしれないが、航空機のエンジンに似ていることからこう呼ばれるようになったという説もある。

繊細なエンジンターン加工が施されたベゼルはレトロ感が強まる点も魅力だ

 ロレックスのエンジンターンドベゼルはご覧のように、ステンレススチール製ベゼルに対して直線的な刻みを細かく連続して設け、5分ごとの凸部に鏡面仕上げを施すというスタイルで、エアキングにも採用されていた。しかし、オイスターパーペチュアルデイトのRef.115210を最後に、2010年にはラインナップから姿を消し現在は存在しない。

 ゴールド素材のベゼルを連続して山形にカットしたようなデイトジャストに代表されるフルーテッドベゼルとは雰囲気がずいぶんと違い、少しスポーティに感じられると同時に、古典的な雰囲気もグッと強まる。加えて34mm径と小振りのため、特に手首の細い人にはおすすめだ。ぜひショップで通常ベゼルと見比べてみてほしい。ちなみに現在の相場は30万円台半ばから50万円台で、40万円台が多い。

【写真】短命に終わったエンジンターンドベゼル採用の最終型、オイパペデイトとエアキング!

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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