芸能人の愛用時計

六平 直政 -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.20-2)

 仮に名前を知らなくても、日本人なら顔さえ見ればピンと来る。六平直政さんは、そういえる数少ない俳優の1人だ。コワモテからお調子者まで難なくこなす確かな演技力と、1度見たら決して忘れられない存在感。当代きっての個性派俳優は、果たしてどんな個性的な腕時計を身に着けているのか。

「オレはスウォッチが好きなのよ。今、一番気に入っているのは、この金×銀になっているヤツ(写真・左)。ベルトがバックルとかじゃなくて伸びるタイプでね。一昨年、唐沢寿明や大竹しのぶなんかと舞台『マクベス』でニューヨークに行ったときに買ったんだけど、日本円で1万円ぐらいだったかな。昔はこういうのばっかりだったじゃない? なんかアンティークな感じがしていいよね。 あと今日持ってきたのは、映画『007 ロシアより愛を込めて』のモデル(写真・中央下)と、『ムルデカ』という映画でインドネシアに行ったときに手に入れたヤツ(写真・中央上)。『007~』のほうは12の位置がソ連をイメージした赤い星になってて変わってるし、インドネシアで買ったほうはこの形でアナログっていうのが珍しいんだよ。どれも日本じゃあんまり見ない。オレ、人と同じのはイヤなんで、安くてもあまり見かけない時計がいいのよね」


オレ、人と同じのはイヤなんで、安くてもあまり見かけない時計がいいのよね

価格は手頃でありながら、なおかつ個性的な腕時計。それを探すのは、口でいうほど簡単なことではない。自分なりのこだわりやセンスが必要になるし、時間も労力もかかる。他人と差を付けるだけなら、ただお金を積むだけのほうがナンボかラクだ。

「一応、美大(武蔵野美術大学)で彫刻やってたからね。形とかに思い入れがあるわけよ。いろいろ秒針やら機能が付いているのはキライ、とかね。時計は時間がわかればいいという主義だから。それ以上背負わせるのは時計が可哀想でしょ。大学時代はスクーバダイビングクラブだったんで、ダイバーズウオッチをしてたんだけど、大きくて重いからやめた。役者の仕事を始めてからは、高いだけの時計もダメ。あちこちブツけたりするから。そうやって考えていくと、時計ほどマニアックになれる物ないなぁって。それこそ1000円以下から1000万円以上の物まである。たとえば、車でそこまでの価格差なんてないじゃない。そう考えるとね、時計って本当にスゴイと思うよ」


ケータイに頼りすぎだよね。人に電話する物で時間を見るな、って。
時間をバカにしてるよ。時間というのは人生そのもの。オレはいつもそう思ってるから。

時計は所有者の美意識を反映する。六平さんにとってのそれはスウォッチだった。その反対が……。

「オレ、ケータイで時間を見るヤツが大嫌いなのよ。最近よく見かけるけど、『今、何時?』って聞くと、『あ、ちょっと待ってください』とか言ってゴソゴソやりだす。そうなると『ああ、もういいよ!』ってなっちゃう。せっかちだから(笑)。
今はみんな、ケータイに頼りすぎだよね。人に電話する物で時間を見るな、って。時間をバカにしてるよ。時間というのは人生そのもの。オレはいつもそう思ってるから。芝居のときの小道具も必ずオン・ザ・タイムにしてもらってる。すぐに見られるように」

そんな六平さんが、4本目として持ってきてくれたのが、父の代から譲り受けたという形見の時計(写真・右)。とっくに電池が切れてしまっているそうだが、交換はせずにオブジェとして持っているのだという。それもまた、六平さんなりの時の感じ方なのかもしれない。

 

六平 直政俳優)
NAOMASA MUSAKA 1954年4月10日生まれ。東京都出身。武蔵野美術大学彫刻科大学院中退。劇団状況劇場を経て、1987年新宿梁山泊「パイナップル爆弾」を旗揚げ。舞台だけでなく映画やドラマにも数多く出演し、日本を代表する名脇役としての地位を確立。映画『ミンボーの女』『シコふんじゃった』『忠臣蔵外伝四谷怪談』『極道の女たち・絆』『BROTHER』『踊る大捜査線 レインボーブリッジを封鎖せよ』『座頭市』など、代表作多数。今年は北野武監督の新作にも出演予定。

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