
57GSこと第2世代のセルフデータ
去る6月10日。時の記念日に業界唯一のアンティーク時計の専門誌「LowBEAT(ロービート)」から「JAPAN VINTAGE SEIKO」(ハードカバー/240ページ/1万3200円)という専門書を刊行した。制作には1年近くかかっており、700本以上もの豊富な情報量で資料的価値の高いアーカイブ本となっている。
書店では販売しておらず専用ECサイトのみの販売。国産時計研究家の本田義彦氏が監修ということもあって、ありがたいことに販売当初から時計愛好家を中心にかなり話題を呼んでいる。
先日この本を知ったフランス人時計愛好家から購入したいとの問い合わせがLowBEAT公式インスタグラムにダイレクトメッセージが入った。フランス語圏で日本の時計文化の研究と普及活動を行なっている非営利団体の代表だという彼は、紙のマガジンを刊行するほどかなり精力的に活動しているようで、その熱量に驚かされる。
ヴィンテージ・セイコーはこのように世界的にもかなり注目度が上がってきている。そのためその影響は日本における実勢価格にも出ており、特にグランドセイコーに至ってはここにきてかなり上昇傾向だ。
とは言ってもまだスイスメイドの有名ブランドほどではないため一考の価値はあると思う。そこでグランドセイコーの何を買ったらいいのか、あくまでも目安として簡単に触れておきたい。
グランドセイコーが誕生したのは1960年とそれほど古くないうえに、スイス勢に負けじと技術力の粋を集めて開発されただけあって性能と実用面からしても、ちゃんと整備されていれば同年代のスイス勢に引けを取らない。
ただ、初代グランドセイコーはほとんどが金張りケースだったことからコンディションにもムラがあったりするため、ある程度の知識がやっぱり必要。そのため狙うのであればステンレススチールケースで、しかも裏ブタがスクリューバック仕様となった64年登場の第2世代、通称57GSこと“セルフデータ”以降の個体のほうが実用面からも狙いめと言えるだろう。
搭載する手巻きムーヴメントは前期型がCal.430、後期型がCal.5722。振動数が毎時1万8000から1万9800にアップされ、デイト表示もカレンダーの早送り機能が付くなど完成度の高さと実用面で後期のほうがだいぶ勝っている。
実勢価格はもちろんコンデションやちょっとした仕様違いで変わってしまうが、金額の目安としては初代の金張りケースで70万円台以上、2代目だと30〜50万円台からといったところ。
ほかにも1968年に登場した国産初のハイビート機、毎時3万6000振動の自動巻き通称61GSも巻き上げ効率も良く20万円台からとおすすめだ。もちろんすべてに言えることだがメンテナンス済みは必須だ。

