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どうしたミルガウス! 10月度のロレックス相場定点チェック|ロレックス通信 No.169

ほとんどのモデルが上昇傾向にあるなか、唯一ミルガウスだけがいまだに下がり続けている

 年間900万人が利用する、まさに世界最大級の高級腕時計のECサイト“Chrono24(クロノ24)”。去る7月下旬にそのCEOであるティム・シュトラッケ氏が、日本支社の開設のために初来日を果たした。それに伴い、筆者も今回直接インタビューをする機会を得たのだが、そこでデイトナなど4月以降の下落について興味深い話を聞いたので、今月のロレックス相場定点チェックの前にちょっと紹介させていただく。

 なお、インタビューの内容については「【Chrono24のCEOティム氏に聞いた】世界的な相場に異変! 高級腕時計における2次流通市場の現況とは?」と題してすでに書かせていただいているため、よかったらぜひそちらも読んでいただけたらと思う。

 さて、その内容はというと、筆者はインタビューの中で、高騰しているロレックスやパテック フィリップなどが大幅に下落した要因について「暗号資産の影響もあるのではと言われているが」という質問をしたのに対して、ティム氏が答えたもの。ロレックスのデイトナを例に次のように述べた。

「やはり何と言っても売りに出されている数がかなり伸びたということも大きな要因だと思います。今年初め、デイトナは私どものプラットフォームで300本ほどでしたが、いまでは現行モデルを含めて、1000本ほど出品されるようになりました。4月以降から実勢価格が下落しているのには、このような出品量の拡大も大きく影響していると考えています。購入希望者が増えてきたことによって価格が上がり、販売業者らが売りのタイミングだということでどんどん市場に商品を出していきました。その結果4月末ぐらいから、値下がりしだしたということが言えるでしょう」

デイトナ(黒文字盤)の推移。2月にピークアウトし、4月からは急落していることがわかる(ウオッチライフニュース「週刊ロレックス 相場」のグラフより)

 つまり、需要に対して供給が上回ったことが大きく関係していると言う。確かにデイトナで300本から1000本と3倍以上増というのはかなり異常な数字かもしれない。掲載したグラフからもわかるように、デイトナ(黒文字盤)は2021年10月に380万円だったものが、今年の2月には550万円と、その上昇幅は異常なほど急激だった。しかし、それを境にピークアウトして4月頃からはさらに急激に下落している。日本市場でもその影響が顕著に現れていることがグラフからもわかる。

 なお、下落していると騒がれているのは、あくまでも海外で“トロフィーウオッチ”と呼ばれている、ロレックスのデイトナ、オーデマ ピゲのロイヤルオーク、そしてパテック フィリップのノーチラスといった世界的にも投機的需要の高いほんの一部のモデルに限った話であるこことを付け加えておく。

 そして気になる日本市場はどうなのか、ということで毎月行っているロレックス人気主要11モデルの実勢価格相場について、今月の定点チェックの結果を以下にお届けする。

 1カ月前の定点チェックでは、「いよいよ下げ止まりか」と書いたが、ほとんどが数万円単位ではあるものの今月も上昇傾向に変わりはない。しかし、そんななかでエアキングとミルガウスだけがいまだに下がり続けている。

 特にミルガウスは、ほとんどのモデルが最高値となった今年2月に198万円となって以降、モデルチェンジが予想されたことから4月初めに新作発表時に一時的に上がったものの、基本的には値下がり傾向がずっと続いている。特に8月以降はその下げ幅が大きくなっているのが気になるところか。

【画像】ミルガウスの実勢価格、その驚きの動きをグラフでチェック!

 

■主要11モデルの月間ロレックス相場(10月21日更新)

【GMTマスターII/Ref.126710BLRO】国内定価127万2700円
・実勢価格:319万円 → 322万円(↑) 先月より3万円アップ

【デイトナ/Ref.116500LN】国内定価172万400円
・実勢価格:469万円→481万円(↑) 先月より12万円アップ

【サブマリーナーデイト/Ref.126610LN】国内定価119万6800円
・実勢価格:216万円→218万円(↑) 先月より2万円アップ

【サブマリーナーデイト グリーン/Ref.126610LV】国内定価125万9500円
・実勢価格:267万円→272万円(↑) 先月より5万円アップ

【ミルガウス/Ref.116400GV】国内定価108万5700円
・実勢価格: 162万円→151万円(↓) 先月より11万円ダウン

【ヨットマスターロジウム/Ref.126622】国内定価145万8600円
・実勢価格:239万円→245万円(↑) 先月より6万円アップ

【ディープシー/Ref.126660】国内定価164万6700円
・実勢価格:198万円→199万円(↑) 先月より1万円アップ

【エアキング/Ref.116900】国内定価87万2300円
・実勢価格:158万円→156万円(↓) 先月より2万円ダウン

【デイトジャスト/Ref.126200】国内定価86万1300円
・実勢価格:122万円→125万円(↑) 先月より3万円アップ

【エクスプローラーII/Ref.226570】国内定価112万2000円
・実勢価格:188万円→193万円(↑) 先月より5万円アップ

【エクスプローラーI/Ref.124270】国内定価84万7000円
・ 実勢価格:135万円→137万円(↑) 先月より2万円アップ

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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