2022年10月、ジェイコブが東京・銀座に国内初となるブティックをオープンし、日本再上陸を果たした。“ファイブタイムゾーンウオッチ”で一世を風靡した同ブランドは、現在、超複雑機構の分野で大きな存在感を示している。
豊かな創造性から生まれる革新的モデルの数々
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アストロノミア スカイ イエローサファイア
ダイアルの中央には地球のオーナメントが配置されており、周囲を3次元の星座ディスプレイが囲むという奇想天外なトゥールビヨン。文字盤は1年に1周する仕掛けになっており、オーバル型のスカイインジゲーターがそのときの星座と日付けを示す。地球には手彫りのラッカー加工が施されており、これがハーフドーム内で自転し、さらに昼夜を示すデイ＆ナイトインジケーターとしても機能する超絶コンプリケーションだ。
■Ref.AT110.40.AA.AA.B。K18RG（47mm径）。30m防水。手巻き（Cal.JCAM11）。世界限定18本。時価
1986年にアメリカ・ニューヨークで設立されたジェイコブは、著名ブランドとのコラボレーションやごく一部の限られた富裕個人客の注文を受けて、カスタムジュエリーのアクセサリーを手がけるブランドとしてスタートした。 設立者のジェイコブ・アラボ氏はロシア系移民で、16歳でニューヨークのジュエリーデザイン学校に入学すると早々に頭角を現し、卒業後はニューヨークでも選りすぐりの宝石商が並ぶ街角に自身の工房を構えた。卓越したデザイン力とセッティング技術の確かさはすぐに評判となり、ニューヨークでもトップクラスのジュエラーとして称賛されている。
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ジェイコブの会長＆創業者ジェイコブ・アラボ氏。宝飾デザイナーとしてキャリアをスタート。自社工房を設立して以降は複雑機構にも積極的に取り組んでいる
宝石業界で成功したジェイコブが、次に目指したのは時計業界だった。常識に捉われない自由な発想でデザインされたそのタイムピースは、持ち味であるジュエリー技術とのフュージョンですぐに注目を浴びるようになる。特にジェットセッターに向けて、中央のメインダイアルのほかに4都市の時刻をサブダイアルで表示した“ファイブタイムゾーン コレクション”は、多くの時計通の度肝を抜いた。2003年のバーゼルワールドで発表されたこのモデル以降、ジェイコブは世界のセレブリティーたちに愛されるようになる。
実際にボクサーのフロイド・メイウェザー氏、ラッパーのジェイ・Z氏といった面々がジェイコブのタイムピースを愛用していることは有名だ。また、サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド氏やリオネル・メッシ氏、スポーツカーブランドのブガッティとはコラボモデルもリリースしており、新たな目標に挑むブランドのイメージを確立するのに成功している。
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ジェイコブではブランドアンバサダーを起用せず、最高のパートナーとのみ提携している。ジェイコブ・アラボ氏と20年来の親交があるクリスティアーノ・ロナウド選手もそのひとりだ
当初はジュエリーウオッチの印象が強かったジェイコブだが、近年は卓越した発想力によって生み出された新機構に挑むマニュファクチュールとしての色合いが濃くなっている。独立系ブランドゆえ製品開発や意思決定がスムーズなこと、開発のために積極的な投資を行っていることもあり、ほかの時計ブランドでは類を見ないユニークな超複雑機構も多く手がけている。さらにジェイコブでは、ユーザーの好みによって一部パーツを変更できるカスタムオーダーにも対応している点も特筆である。実際に、既存のモデルに新たに貴石をセッティングしたり、ダイアル上にミニチュアを加えたりなど、世界にひとつだけのタイムピースをオーダーするセレブリティーは多い。
デザインは余裕あるオトナの遊び心を感じさせ、メカ好きも納得させる贅を凝らしたムーヴメントを積んでいるとなれば、時計ファンから注目を集めるのも当然だろう。今後もわれわれの想像を遥かに超える作品を生み出してくれることは必至で目が離せない。
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ジェイコブの独創性を際立たせているのが、様々な特許技術だ。このモデルでは特許取得の3軸トゥールビヨンと、時刻表示のインダイアルなどがアームで接続されており、20分で文字盤上を1回転する。宇宙の神秘的な動きを再現した最高峰の天文コンプリケーションである
ジェイコブのユニークな点は、トゥールビヨンからミニッツリピーター、超ロングリザーブ、果てはデジタル表示を駆使したワールドタイマーと、そのラインナップの幅が広く、設計の自由度が高いという点である。そのため多くのタイムピースは過去に見たこともないようなスタイリングをしているモデルも少なくない。
特に際立つのが高級スポーツカーのブガッティとのコラボモデルだ。デザインは同社の手がけるシロンのエンジンブロックをモチーフにしており、本物さながらにピストンが動くというギミックが盛り込まれている。ムーヴメントには当然のようにトゥールビヨンが搭載されるが、さらにケースにはサファイアクリスタルを使うことで、この複雑なムーヴメントの動きをあらゆる角度から楽しむことができる。稼働パーツが多いのだが、それだけに眺めているだけでも迫力があって楽しい。
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ブガッティ・シロン サファイアクリスタル
公称時速420km/hを誇るハイパーカー、ブガッティ シロンとのコラボモデル。トゥールビヨンに加え、エンジンルームを模したムーヴメントはピストンが動く斬新な機構が搭載されている。これだけ稼働部が多いのにもかかわらず、外装にサファイアクリスタルを用いた点も驚かされる。これによって複雑な機械の動きを全角度から視認できる。
■Ref.BU210.80.AA.BBRUA。サファイアクリスタル（55×44mmサイズ）。30m防水。手巻き（Cal.JCAM37）。世界限定1本。時価
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価格的には数千万～億超えの高額モデルばかりだが、工芸技術の極地とも言えるその完成度は、それに見合う価値のあるものばかりだと言えよう。文字盤の上に展開する世界観は、非常にオリジナリティーにあふれており、時計というツールに対する凝り固まってしまった概念を一新してくれるはずだ。
【問い合わせ先】ジェイコブ＆コー ジャパン TEL.03-6281-4777
公式サイト：https://jacobandco.jp/
日本公式Instagram：https://www.instagram.com/jacobandco_japan/
アカウント名：jacobandco_japan
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構成◎堀内大輔（編集部）／文◎巽 英俊／写真（時計）◎水橋崇行