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【国産時計で初採用!?】オリエントスターに搭載されるF8系キャリバーの実力を解説

 ブランド誕生70周年を迎えた2021年。これを記念し、オリエントスターは1971年以来、基幹ムーヴメントとして採用している46系キャリバーをさらに進化させたF8系を発表した。基本設計は従来を踏襲しながらも、大幅にブラッシュアップし、性能を向上させたこのキャリバーで特に注目を集めたのは、国産機械式ムーヴメントで初めてシリコン製のガンギ車が採用された点にある。これは、半導体分野において高い技術力を培ってきたエプソンだからこそ、他社に先んじて完成できたものだ。

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 このシリコンが時計界で注目されはじめた00年代当時、大きな利点と考えられていたのは、“非磁性のため耐磁性能を向上できる”ことであった。しかし近年はこれ以外の“軽い”や“抵抗が少ない”といった特性に注目し、シリコン製パーツを導入するメーカーは多い。シリコン製ガンギ車を、耐磁には向かないスケルトンムーヴメントに導入したことからも、同ブランドが後者であることは明らかだ。実際、F8系はムーヴメントが稼働する際の抵抗を低減させるなどして、精度の向上とパワーリザーブを従来より20時間も延長させた約70時間となっている。

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写真中央の青いパーツが、エプソンが開発したシリコン製ガンギ車。接着剤を使用せず強固な嵌合(かんごう)を実現した“回転ずれ防止形状”や、取り付け時の破損を防ぐ“バネ性構造”に加え、世界でも珍しい“鮮やかな青色”といった特許技術も含まれている

【画像ギャラリー:F8系キャリバー搭載モデルを見る】

 またエプソンが手掛けたシリコン製パーツは、性能向上に寄与するだけでなく、鮮やかな青色を実現しており、ムーヴメントの美観を高めるアクセントになっている。加えて、受けや地板など全体に丁寧な仕上げが施されるほか、面取りも入念だ。
 登場から50年が経つ46系キャリバーは、エプソンの技術を得て、現代に即した性能と優れた美観を併せもつムーヴメントにアップデートされているのだ。

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ムーヴメントを極限まで肉抜きしながらも、日差−5〜+15秒の高精度を実現したCal.F8B63を搭載したスケルトン。“魅せる”ことにこだわり、ムーヴメントは細部まで丁寧な仕上げが施されている。
■クラシックコレクション スケルトン。Ref.RK-AZ0002S。SS(38.8mm径)。5気圧防水。手巻き。31万9000円

 

【問い合わせ先】オリエントお客様相談室 TEL.042-847-3380
https://www.orient-watch.jp/orientstar/

 

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文◎堀内大輔(編集部)

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