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【手で巻くひと手間に愛着が湧く!】“ハミルトン”ほか、数万円から狙える数少ないミリタリー系手巻き時計3選

筆者のまわりで、あまり時計に興味のない友人などに「手巻き式時計」についての印象を聞くと、さすがに「何それ」という回答は無かったものの、圧倒的に多かった印象が「めんどう」だった。

やはり、現在市販されている腕時計の大多数は、クォーツか自動巻き式のものが占めているため、いまとなっては当たり前の印象なのかもしれない。

その一方では、海外の有名な高級時計ブランドのなかには、機械式ムーヴメントのメカニズムと美しさを追求し、あえて自動巻きではなく手巻き式の腕時計を主軸に展開している時計メーカーもあったりする。そのため筆者のように時計業界に身を置いていると、不思議と時計を選ぶ際に「手巻き」だから「自動巻き」だからというのをあまり聞いたことがないため、あらためて今回「なるほど」と感じた次第である。ということで「手巻き式時計の魅力」について整理してみたいと思う。

一般的には「めんどくさい」と思われがちの手巻き式だが、時計愛好家にはこの手間を「味わい」として楽しむ人も多い(アウトラインの最新作、手巻き式のミリタリーType1940)

時計の歴史を遡るとそもそも最初の頃の時計といえばすべて手巻きだった。その後1930年代になるとロレックスを筆頭に自動巻き式のムーヴメント(機械)が開発され、その利便性から徐々に自動巻きが主流になっていったという背景がある。ただ実際には一部のブランドに限られており、1940年代頃までの腕時計はやっぱり手巻きが主流だった。

当時、時計の技術的進化を早めたと言われる軍用時計も然りで、ムーヴメントの構造がシンプルで壊れにくいということから、1960年代までは圧倒的に手巻き式が採用されている。

また、自動巻き式の開発がとても難しかったクロノグラフウオッチに至っては、自動巻きモデルが出たのは1969年以降になってからで、アンティークの世界では逆に、クロノグラフは手巻きが当たり前となっている。ちなみにロレックスの超人気クロノグラフであるデイトナが自動巻き式になったのは、その第4世代が登場する1988年になってからのことだ。

このように、古い時計では当たり前であった手巻き式、冒頭でも触れたように、海外の特に歴史のある有名な高級時計ブランドでは、最新技術を用いて現在も手巻き式モデルを製造している。そのため時計愛好家には手巻き派という人も意外に少なくない。

ドイツの高級時計ブランド、モリッツグロスマンは手巻きモデルを主軸にコレクションを展開する。ご覧のように細部まで美しい仕上げを施したムーヴメントが見られるのは、まさに手巻きならではの醍醐味だ

では、自動巻き式と比べて手巻き式時計のメリットにはどのようなものがあるのだろうか。
1、自動巻き式よりも構造がシンプルのため壊れにくい
2、オーバーホールなどメンテナンス時や修理の際の費用が安い
3、ゼンマイを自動で巻くための半円形のローター(振り子)が手巻き式には無いため、時計のケース自体が薄くなりとても着けやすい。そのため高級なドレス系モデルに多く使われている
4、また、これは高級時計に限って言えることだが、ローターが無いためシースルーバックになった裏ブタから機械の細部まで見える。そのため徹底して見せる仕上げが施されることも多く、そのメカニズムが生み出す造形美を堪能できるのも手巻きならではの特権

上記四つに加えて、“ゼンマイを手で巻き上げる”という「めんどう」な操作をあえて「楽しみ」として捉える愛好家も多い。手巻き式はゼンマイを巻き上げる際に出る「カリカリ」という小さな音。そして、手で巻いてあげるというひと手間をかけることで逆に愛着が湧いてくるというもの。つまりこれをルーティンとして楽しんでいるというわけだ。

この手巻き式時計だが、10万円以上の価格だといろいろ見つかるものの、残念なことに10万円未満となると極端に少なくなってしまう。これが一般的になじみが薄くなっている大きな要因なのだ。そこで、そんな数万円で買える数少ない手巻き式の中からおすすめモデルとして3種類をピックアップ。手巻きモデルの傑作に軍用時計が多いことから、すべてミリタリーデザインで選んでみた。ファッションとの相性もいいこのミリ顔デザインで手巻き式時計を楽しんでみてはいかがだろうか。

【画像】ミリタリー系手巻き3モデルの正面写真をチェック!

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