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ジラール・ペルゴ、ロレアートの第3世代モデル【昭和&平成の隠れた名作:Vol.16】

1970年代のスイス時計界は、クォーツショックと人件費の高騰により大小様々な時計ブランドが休眠や倒産に陥いる厳しい時代だったとされているが、そんな状況でもすべてのブランドが何の策も講じることなく衰退していったわけではなかった。70年代は逆境を乗り越えるため、新たな挑戦が試みられた時代でもあるのだ。

スペースエイジと呼ばれる近未来的なデザインの登場や、デジタル時計を模して作られた機械式デジタル時計などがそうした挑戦の一例だが、特に象徴的なのがラグジュアリースポーツモデルの誕生だ。

いまでこそ当たり前のように定着しているが、その嚆矢とされるロイヤルオーク、ノーチラスが登場した当時は、ラグジュアリーウオッチといえば貴金属を使用したドレスウオッチである。スポーツウオッチとラグジュアリーウオッチの融合は、現在の感覚では考えられないほど革新的なものであったといえるのだ。


ノーチラスでジェラルド・ジェンタが確立した“高級時計並みにディテールを作り込んだステンレススチールのスポーツウオッチ ”というスタイルは、後に多くのフォロワーを生み、ラグジュアリースポーツという新たなジャンルを形成することとなる。ジラール・ペルゴのロレアートも、そんなモデルのひとつだ。


■Ref.8010。PG×SS(36mmサイズ)。100m防水。自動巻き(Cal.GP3100)。参考商品

GIRARD-PERREGAUX(ジラール・ペルゴ)
ロレアート

ポリッシュ仕上げの八角形ベゼルと一体型ブレスレットを備えたスポーティな意匠が特徴的なラグジュアリースポーツの名作。ムーヴメントは自社製のGP3100を搭載。ジェンタデザインの影響を感じさせるブレスレット一体型の薄型ケース。丸みを帯びたフォルム、ヘアラインベースで角を面取りした作りはノーチラスを想起させるが、縦の筋目を採用したノーチラスと異なり、ロレアート では第1世代から一貫して横の筋目を採用し、美観を高めている。

【ジラール・ペルゴの名作ロレアートをもっと見る】


初出は1975年とされており、一般的にはジェラルド・ジェンタの作と認識されているが、ジェンタデザインを明確に示した公式な記録は見つかっていない。確証がないままでジェンタ作とされている要因が、ロイヤルオークを想起させるオクタゴンベゼルとノーチラスを思わせる薄型ケースとH型のブレスレットだが、実はこのデザインが採用されたのは84年初出の第2世代から。第1世代に関しては、ケースやブレスレットがより薄型でシンプルなデザインのため、その印象は大きく異なる。おそらくはジェンダデザインにインスパイアされたモデル、というのが真相といえそうだ。

ここで紹介しているのは初の自動巻きムーヴメントを搭載し、96年に登場した第3世代だ。オクタゴンベゼル、H型ブレスレットに加え、自動巻きでありつつ薄型のフォルムを見事に継承。ディテールの作りがより立体的になり、第2世代よりも高級感が高められているのも魅力といえるだろう。


 

文◎Watch LIFE NEWS編集部

 

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