動力源にゼンマイを使う機械式腕時計は、自動巻き式と手巻き式の2種類が存在する。定期的にゼンマイを手で巻く必要がある手巻き式に対して自動巻き式は、手首に着けてさえいれば腕の振りなどによってローターと呼ばれる半円形の重りが回転して、勝手にゼンマイを巻いてくれる。そのため、現在市販されている腕時計の大多数は便利な自動巻き式だ。
しかし、なかには“ゼンマイを手で巻き上げる”という面倒な操作をあえて楽しむ好事家もいる。ゼンマイを手で巻き上げる際に出る“カリカリ”という小さな音を聞きながら手で巻くというひと手間のルーティンで、愛着が湧いてくるという。
手巻きモデルの製造数の減少と高級時計の値上がりにより、手軽な予算で楽しめる手巻きモデルはかなり少ないのが現状だ。そこで本記事では、10万円アンダーの予算でも狙える3モデルをピックアップ。ビギナーやエントリーモデルにもおすすめの“手巻き時計”を紹介していく。
【画像】本格機械式クロノグラフ、軍用時計の復刻モデルも!10万円以下、狙い目の“手巻き時計”3選
<10万円アンダー、いま狙い目の手巻き時計①>
ハミルトン
カーキ フィールド メカ
ベトナム戦争時のアメリカ陸軍に供給されていた軍用時計。ハミルトンもその製造メーカーのひとつであることは有名だ。本モデルは1960年代のベトナム戦争期に当時のミルスペック準拠で製造されたモデルの復刻版。
5分刻みに配された三角マーカーのミニッツインデックスに、24時間表示のアワーインデックスという、ハミルトンが製造していた1960年代当時のデザインを忠実に再現したモデルである。
程よいサイズの艶消しステンレスケースにシンプルな3針表示ダイアルを合わせ、非常に視認性が良いのが特長。視認性の高いミリタリーデザインに加えて、当時と同様に手巻きムーヴメントを搭載。なんと80時間というロングパワーリザーブを誇るなど、実用性の高さも非常に魅力的だ。
【問い合わせ先】
ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン
TEL.03-6254-7371
<10万円アンダー、いま狙い目の手巻き時計②>
アウトライン
ミリタリーType1940
1940〜60年代のアンティークテイストの時計をコンセプトに展開する時計ブランド、アウトラインの手巻きモデル。管理コード“W.W.W.”として1944年にイギリス軍向けに開発された軍用時計で、オメガを筆頭にスイスの時計メーカー12社が製造したことから時計愛好家の間で“ダーティダース”の愛称で呼ばれる名機を再現したものだ。
最大の特徴は、6時位置の大きなスモールセコンド(秒表示)。40年代の軍用時計を象徴するスタイルで、太めのアラビア数字に文字盤外周の線路のようなレイルウエイミニッツトラック、そしてプラ風防と当時の雰囲気を忠実に再現している。
写真右のモデル(Ref.YK20231-60)は、近年トレンドカラーのひとつになっているスモーキーグリーンのグラデーション文字盤を採用。サンレイ仕上げを施すことで、そのグリーンも光の加減で明るくなったり暗くなったりと微妙に変化することから派手さはまったく感じない。程よい色気があってファッションの差し色としても効果的だ。
【問い合わせ先】
シーズ・ファクトリー
TEL.03-5562-0841
<10万円アンダー、いま狙い目の手巻き時計③>
ヘメル
HF22 エアディフェンス
“実用的でラグジュアリーなプロダクツ”というコンセプトのもと、手が届く価格で多彩なコレクションを展開するニューヨーク発の時計ブランド、ヘメル。
本作は名機と呼ばれるヴィーナス社製のクロノグラフムーヴメント“Cal.175”を継承する高品質ムーヴメント“Cal.ST19”を搭載した手巻きモデルだ。
機械式クロノグラフでありながら、8万8000円というお手頃価格を実現。シンプルなアワーサークルとピアノの黒鍵のようなシックな輝きを放つタキメーターベゼルが価格以上の高級感を放つ。
高いコストパフォーマンスが魅力の本モデルだが、2024年9月1日より、8万8000円から13万2000円への価格改定が予定されている。10万円アンダーで購入できる期間は残りわずかとなっているため、気になる方はお早めに。
【問い合わせ先】
HEMEL Japan(ヘメル ジャパン)
TEL.03-5396-4008
文◎市村信太郎(編集部)
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