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実機を見て、あらためてそのカッコ良さに「あの時買っておけば…」と後悔! |菊地吉正の【ロレックス通信 No.288】

先日、あるショップで久しぶりに実機を手に取ってあらためて惚れなおしてしまった初代エクスプローラー II 、Ref.1655について書きたい。

1970年代といえば69年にNASAが月面着陸に成功するなど、世の中の目が宇宙に向いていた時代だ。この傾向は腕時計のデザインにも顕著に出ていて、卵型やクッション型といった異形ケースとともに宇宙を意識させるようなデザインや色など、個性的なものが当時の腕時計のデザイン的な傾向だった。

そんな70年代に登場したのがエクスプローラー II だ。エクスプローラー(以降、区別する意味で「 I 」と表記)の進化形として、その誕生から18年後の71年にリリースされた。

そもそもなぜこのタイミングでロレックスはエクスプローラー IIを新たに投入したのか。一説には I の人気に陰りが出てきたためと言われている。これが正しいかはわからないが、探検家向けの時計として誕生した I のコンセプトをそのまま受け継ぎつつ新しく24時間表示という機能を追加、使用シーンを洞窟など昼夜の判別ができない場面を想定した進化版として作られた。

そして、興味深いのがこのデザインである。やはりロレックスといえども当時の世相を反映したのだろうか。そう思わせるほど大振りのインデックスやオレンジのド派手な24時間針など、そのデザインはロレックスらしからぬかなり主張の強いものになっている。

ロレックスといえば実用時計をコンセプトに掲げているだけあって歴代モデルのデザインは極めてシンプル。しかし、70年代に登場したこの II だけが突出してアクの強いデザインなのである。

これが仇となって2000年代前半までまったく評価されていなかったため当時は70万円ぐらいだった。それが2005年ごろからデザインが見直されて海外オークションで火が付くと徐々に上昇していき2010年頃には130〜150万円という相場まで上昇した。

その後2018年頃に200万円前後だったものが2019年からさらに加速。いまや300万円台前半から500万円台。もしフルオリジナルのいい個体を狙おうとすると予算400万円ぐらいは覚悟しなければならない状況だ。

かつて相場が150万円ぐらいの時点で筆者も真剣に買おうと一度は考えたのだが、当時は購入に踏み切るまで魅力を見出せず購入には至らなかったが、今回実機をあらためて見て「あの時に買っておけば…」と心ならずも真っ先に思ってしまったというわけである。

【画像】エクスプローラー II 歴代モデルの変遷を写真でチェック!

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菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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