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【この野暮ったい大ぶりバーがいい味】38mm径の最新作はカーレース全盛期70年代の時計デザインを再考|菊地吉正の時計考_013

先週金曜日からクラウドファンディング“ウオッチメーカーズ”で先行予約の受け付けを実施しているアウトラインの最新作“2レジスタークロノ・シリーズIV”。今作は正直なところ新たな試みだったこともあって、評価されるかが不安だったが、おかげさまで開始早々に多くのお申し込みをいただいき、1年半かけてこだわって作っただけにほんと嬉しい限りである。

では何が新しい試みだったのかというと、これまでは1960年代以前に作られた歴史的なモデルから着想を得た製品が中心だったが、今回は70年代のデザインにフォーカス、当時のデザイン的なトレンドにこだわって製作したからだ。

70年代といえばカーレース全盛期。加えてNASAアポロ計画で人類が月に降り立つなど、世界中が宇宙に熱い視線を注いでいた時代。そのため当時の時計のデザイントレンドといえば、レーシーングクロノやスペースエイジを強調した個性的なものが主流で、特に特徴的だったのはアワーインデックスと流線形の異形ケース、そしてカラフルな色使いだった。

なかでもアワーインデックスについては王道のアラビア数字を使ったデザインは極めて少なくなり、代わってバーインデックスと呼ばれる棒状のシンプルなタイプが主流だった。しかもそれは控えめではなく極太かつ立体化された主張の強いもので70年代の時計デザインをある意味で象徴するアイコンと言える。

そこで今作では、当時のバーインデックスにこだわり、フェイス全体のデザインバランスを考えながら大きさを調整。単に立体化するだけでなく当時と同じように文字盤中央に向かって斜めにカットするなどその造形にもこだわって再現した。

加えて、より見た目のレトロ感を強調する手法として採用したのがフラットなベゼル。あえて傾斜を付けず平らに設計。そうすることで全体のフォルムがキレイにまとまりすぎず、逆にプラスチック風防のドーム形が際立つことでデザインの古っぽさを強調したデザインを採用した。

このように言葉で表現すると簡単なように感じるが、実際は平面と立体ではかなり見え方が違ってくるため、その微妙な設計面での調整のたびに数カ月かかってしまう。雑誌のように平面的に作る2次元の世界とはまったく違い、3次元ならではの表現の難しさをあらためて感じさせられた。

【画像】他のデザインバリエーションをチェック!

【2レジスタークロノ・シリーズIV】Ref.YK20255-2BK(逆パンダ)。SS(38mm径)。5気圧防水。メカクォーツ(VK64)。4万6200円

[WATCH Makersはこちら]
https://watchmakers.en-jine.com

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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