アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
オメガ
シーマスター クロノメーター マイスター ダブルネーム
今回紹介するのは、いまなおオメガの腕時計を代表するモデルとして名を馳せる、シーマスターのクロノメーターモデルだ。本個体は1970年代に製造されたもので、直線と平面で構成されたモダンな雰囲気のケース形状が特徴的だ。1950〜60年代に見られた、曲線的で太いラグを強調したデザインから一新され、先代モデルの力強さを継承しつつ、現代的かつスタイリッシュな意匠へと昇華されている。

【写真の時計】オメガ シーマスター マイスターダブルネーム。Ref.166.032。SS(35mm径)。自動巻き(Cal.751)。1970年代製。23万1000円。取り扱い店/モンテーヌサカエチカ
時分針は、黒のペイントと夜光塗料を施したペンシル形へと変更され、視認性もいっそう向上している。文字盤はドレスウオッチらしい上品さを備えながらも、防水性能を有するケースがもたらすスポーツウオッチ特有のタフな印象が融合しており、このコンセプトの一貫性こそが、シーマスターが多くの支持を集めてきた理由のひとつと言えるだろう。
そして本個体最大の特徴とも言えるのが、文字盤6時位置に示された“MEISTER(マイスター)”のプリントだ。
マイスターは120年以上の伝統をもつスイス・チューリッヒの高級宝飾店であり、そのマイスター社とのダブルネーム品であることを意味しているのだ。かつての腕時計で"ダブルネーム"と言えば、製造元であるブランド以外に、販売店などの名前が加えられた個体のことを指す。実際、マイスター以外にも、ティファニーやギュブラン、チューラーなどのダブルネームモデルが存在している。
これらのダブルネームは、その個体数の少なさゆえに、コレクターから高い人気を誇り、高価格で取引される場合がある。特にティファニーなどの有名ブランドとのダブルネームには偽造品も多く流通しているため、購入の際には十分な注意が必要だ。
ムーヴメントには自動巻きのCal.751を搭載。オメガの名作自動巻きムーヴメントとして語られるCal.564に曜日表示を追加した点が特徴だ。Cal.564と同様に、毎時1万9800振動のロービートながらも安定した精度を実現している。適切な整備を行えば、いまなお十分な性能を発揮できるはずだ。安定感のある性能と耐久性を実現したこのムーヴメントは、アンティーク初心者から玄人まで、誰にでもおすすめできる。ただし、日付けの早送りは可能である一方、曜日の早送りはできない点は憶えておきたい。
時計愛好家同士で腕時計を見せ合う際、相手の時計がダブルネームであることに気づいた際は、ぜひニヤリと笑いながら声をかけてみよう。マニアックな時計談義が盛り上がること請け合いだ。
【LowBEAT Marketplaceでほかのオメガの時計を探す】
文◎LowBEAT編集部/画像◎モンテーヌサカエチカ