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【スクエア形ケースの弱点を克服!】特殊なケース構造によって気密性を確保したゼニスのレスピレーターXをクローズアップ

アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。


ゼニス
レスピレーター X

今回紹介するのは、1960年代後半から70年代にかけて製造されたゼニスのレスピレーターXだ。

緩やかなカーブを描くスクエア形状の金張りケースが特徴的で、どことなくスペースエイジデザインの到来を感じさせる雰囲気を備えている。バーインデックスを採用した文字盤も端正な顔立ちで、さりげないスポーティさを演出する。

ムーヴメントには自動巻きのCal.2552PCを搭載。当時としては比較的高振動である毎時2万1600振動を採用し、安定した精度と耐久性を実現している。本機は、当時ゼニス、モバード、モンディアが連合を組んでいた時代に登場したムーヴメントで、初代“デファイ”にも採用された実績を持つ。安定した精度と、後のハイビート化を見越したポテンシャルの高さが魅力だ。後に製造された後継機では毎時2万8800振動や3万6000振動のハイビートを実現している。

ケースは金張りの剥がれも目立たず、文字盤にも変色は見られないため、スクエアケースを採用したアンティークとしては申し分ないコンディションといえる。

【写真の時計】ゼニス レスピレーター X。GF(40×31.5mmサイズ)。自動巻き(Cal.2552)。1960年代製。11万円。取り扱い店/喜久屋商事 時計部

【画像:文字盤やケースの状態を確認する(全6枚)

気密性の問題から、文字盤などに腐食や変色が生じやすいスクエア形の時計だが、本モデルはケース構造を工夫することで気密性を向上させている。

ケースの裏ブタ側に注目すると、ラグ裏4か所にネジが斜めに埋め込まれているのが確認できる。このネジは、裏ブタと一体型のミドルケース、そしてその上にかぶさる風防とパッキンをアウターケースへ押し当てる役割を果たす。ネジを均等に締め込むことで、インナーケースと風防の間に挟まれたパッキンが圧縮され、スクエア形でありながら高い気密性を確保できたのだ。ただし、経年によるパッキン類や風防が劣している可能性が高いため、非防水として扱うことを推奨する。

これは“クラムシェルケース”と呼ばれる、1936年にギャレット社が特許を取得した歴史をもつケース構造によく似ており、主に軍用クロノグラフや一部の防水時計に採用されていたが、製造やメンテナンスに手間がかかることに加え、より優れた防水構造が台頭したことにより、徐々に廃れていったとされている。

現代のスクエア時計では、パッキン素材やケース構造の進化によって、スナップバックやビス止めでも十分な気密性を確保することが可能となった。しかし、かつては角形時計の防水性を確保すること自体が難しく、各メーカーが試行錯誤を重ねていたのである。そんな時代背景を感じさせるゼニスのレスピレーターXに、あらためて注目したい。

 

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文◎LowBEAT編集部/画像◎喜久屋商事 時計部

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