●選んだ道を、正解に。“TOEIC漬け”の大学生活
英語という武器を手に、大学進学を見据えていた高校3年生の夏。堀越さんは心身の調子を崩し、学校や予備校の授業に出られなくなった時期があった。
「当時は母も体調を崩して入院していて、家を離れた兄もいない。そんなある日、母がポツリと『ちさとも大学生になったら家を出ちゃうんだね』と呟いたんです。その一言を聞いて、進路を変える決断をしました。家から通える範囲で英語を深く学べる場所へ行こうって」
憧れの第一志望校より、かけがえのないお母様との日々を選択した堀越さん。当時はどのような想いだったのだろうか。
「場所を理由に言い訳をするのだけは、絶対に嫌だったんです。“ここでなにか一番になろう”。そう決意して、TOEIC(トーイック)の勉強にすべてを捧げました(※TOEIC:日常生活やグローバルビジネスにおける英語のコミュニケーション能力を、990点満点のスコアで評価する世界共通のテスト)。日本中の問題集を解き尽くし、それでも足りずに韓国からも問題を取り寄せて。“人生で一番努力した”と胸を張って思える日々でした」

高校&大学時代のノート
ほぼ毎月行われていたTOEICの試験を必ず受け、その都度結果を徹底的に分析。やるべきことを明確にしてまた学習に励む。そのルーティンで集中力が研ぎ澄まされ、とにかく数多くの問題をこなしていたと振り返る。
その血が滲むほどの努力は数字となって結実。大学内で最高スコアを叩き出し、卒業時に表彰される。
「第一志望校には行けなかったけど、その事実をネガティブなまま終わらせたくなかった。選んだ道を、自分の力で“正しい道”に書き換えていく。それが、いまの私の仕事にも繋がる信念になっています」

成人式のときのお写真
●お母様と選んだ思い出の腕時計
もともと、腕時計に強い関心があったわけではなかったという堀越さん。大学の卒業を間近に控えた頃、お母様から「社会人になるなら、きちんとした時計を持ちなさい」と言われ、一緒に選びに行ったそう。
「心を惹かれたのは、シルバーとゴールドが配されたシンプルで小さめのレディース時計でした。特別高価なものではなかったですが、当時の自分には少し背伸びをしているような不思議な感覚があって。すごく大人っぽい印象で、当初は正直、本当に私に似合っているのかなと不安になったのを覚えています」
しかし、社会人としてスーツを着て、その時計を毎日着けて仕事に行くようになってから、不思議と気持ちが変わっていったと話す。
「腕元を見るたびに少し背筋が伸びるというか、『ちゃんとやろう』とスイッチが入るんです。気付けば仕事の日だけでなく、休日も肌身離さず身に着けるようになっていました」

お母様と選んだ腕時計は、新社会人になった自分を励ましてくれるような存在だったという
月日は流れ、いまはもうその時計は動かなくなってしまった。
「でも捨てる気にはなれなくて、今でも大切にしまってあります。ただの道具ではなく、母と一緒に選んだあの時間を含め、大切な思い出の象徴のような気がしていて。私にとっては、学生から大人へ変わる時期の“人生の節目”を彩った宝物です」