アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
セイコー
ドレスウオッチ
今回取り上げるのは、1975年頃に製造されたセイコーの2針ドレスウオッチ、Ref.2220-0430だ。
ブラックのラインが引かれたインデックスはすべて植字で、黒く鋭いペンシル形の時分針と相まって立体感と視認性を高めている。また、文字盤表面には和紙を連想させる繊細なテクスチャー加工が施されており、コンパクトな34mm径のケースと相まって、凝縮感のある顔立ちに仕上げられている。シンプルなラウンド形のケースに短いラグを組み合わせた、“これぞ腕時計”と呼べるようなデザインの1本だ。ちなみに、文字盤6時位置に印刷された稲妻のマークは、本個体が亀戸に工場を構えていた第二精工舎で製造されたことを意味している。
ケース厚は7mmで十分に薄いが、裏ぶた周辺に傾斜をつけてケースサイドを細く絞るような形状とすることで、より薄く見えるように工夫されている。
発売当時は“ドレスウオッチ・スタイルウオッチ”シリーズとして販売されており、のちに“シャリオ”と名を改め、ドレスシーンを想定した幅広いラインナップが展開された。

【写真の時計】セイコー ドレスウオッチ。Ref.2220-0430。SS(34mm径)。手巻き(Cal.2220)。1975年製。3万9800円。取り扱い店/WTIMES
【画像:文字盤の仕上げやケースの状態をさまざまなアングルから見る(全5枚)】
ムーヴメントには、セイコーが量産していた手巻き式のCal.2220を搭載。第二精工舎が得意としていたレディース向けの小径ムーヴメントであり、一円玉の直径よりも小さい約17mm径というサイズながら、毎時2万8800振動(毎秒8振動)のハイビートを実現した高性能機だ。2針仕様のため、1日に何秒の進み遅れがあったかは体感しにくいが、適切な整備を施せば、1日を通して安定した精度を発揮してくれるはずだ。
ムーヴメント厚は約3.3mmで、超薄型とは言えないものの、薄いケース構造には十分に貢献している。強度が求められる箇所の耐久性も確保されており、整備性とのバランスにも優れている。グラスヒュッテ系のムーヴメントに見られる3/4プレートのように、香箱車ごと輪列を覆う受け板が採用されており、生産性と耐久性を重視していたことがうかがえる。加えて、摩耗の生じやすい香箱車の上下の受けや輪列に保油装置を設け、24石もの受け石を使用している点にも注目したい。
同時期に同社から発売されていた、より上位機にあたる高級薄型ドレスウオッチ、UTD(ウルトラ・シン・ドレスの略)のCal.68系の薄さには及ばないが、シャツの袖にも難なく収まる薄さは、現代の時計でもなかなか実現できないだろう。なにより、アンダー5万円の価格帯から狙えるアンティークドレスウオッチとしては比較的流通量も多く、安心して日常使いできる点は見逃せない。
防水性はあまり期待できないが、裏ブタのパッキンを適切なサイズのものに交換すれば、汗程度であれば防ぐことができるかもしれない。もっとも、当時から防汗程度の性能しかないとされていたため、高温多湿な環境や水にぬれるような状況での使用は避けることを推奨する。
需要の減少により、現在では選択肢がほとんどなくなってしまった国産の2針手巻きドレスウオッチ。比較的手ごろな価格で楽しむことができる、60年代後半から70年代にかけて生産された国産ドレスウオッチの作り込みとクオリティには、ぜひ注目してみてほしい。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎WTIMES
