各ブランドの超定番モデルの相場動向をテーマにお届けしている当連載。前回の記事ではオメガのシーマスターを取り上げたが、今回は歴史的パイロットクロノグラフであるブライトリングの“ナビタイマー”だ。
市場のなかでも特筆して大幅に高騰し続けるアンティーククロノグラフにおいて、確かに上昇はしているもののまだ手の届く価格帯に留まっているブライトリングの“ナビタイマー”。第1世代のRef.806(とりわけ最初期の通称AOPA文字盤)は非常に流通量が少なく希少だが、そのほかはまだ市場の流通量が比較的多く、個体を見比べやすいのも魅力だ。
いちばんの狙い目は、傑作キャリバー・ヴィーナス178搭載の第2世代。

反転カラーのインダイアルと大きな刻み入りのベゼルへと変更された2ndモデル。1stとレファレンス、ムーヴメントは同じだ
インダイアルとベゼルの仕様が大きく異なる第1世代と第2世代だが、同じRef.806で、ムーヴメントには名機Cal.178を搭載している点も共通(第1世代のごく一部の個体にはバルジュー72が搭載されている)。
同キャリバーは古典的な手の込んだ作りに、12時間積算計という当時の新設計を組み込みつつ生産性も考慮されており、歴史的評価も非常に高い。前述のとおり第1世代はかなり高騰してしまったが、第2世代はまだ100万円未満の現実的な予算で狙える。

ヴィーナス社初のスリーカウンタークロノグラフにして、歴史的傑作の“Cal.178”。バネでリセットハンマーを動かすというダメージが掛かりにくい構造のリセット機構で、いまでも動作が良好な個体が多い
1960年代後半には、ムーヴメントがバルジュー7730に変更されたRef.7806も登場。キャリバーの歴史的価値は劣るものの、デザイン的には初代の面影を色濃く残す最後の世代となっている(以降はかなりモダンなデザインに変更されている)。
また、ナビタイマーは同時代のクロノグラフに比べてケースが頑強で、ムーヴメントの状態も比較的良いものが多い。ただし修理費は高くつくため、不具合のある個体はしっかりと見極めたい。
総じてかつてに比べると高騰はしているものの、オメガのスピードマスターなどに比べるとまだ手頃と言えるナビタイマー。具体的な世代別の相場について、業界のプロはこう語る。
「1stモデルは市場からほとんどなくなっているため、相場がかなり上昇しております。もともとの人気の尺度を超えると販売も難しくなるため、購入希望者も減ってしまっている実感がありますね。1stはいまでは確実にコンディションの良い個体は150万円以上はします。2nd以降は50~60万円台ほどかと思います」(ワンミニッツギャラリー/代表・山下氏)
著者profile◎市村 信太郎
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