先週より、各ブランドの超定番モデルの相場動向をテーマにお届けしている当連載。前回の記事では高騰著しいロレックスのエクスプローラー Iを取り上げたが、今回はアンティーク市場における圧倒的な流通量と手頃な相場感が魅力の“シーマスター”についてだ。
【画像全6枚】シーマスターのデザイン、製造年代、歴代相場ほか
ビギナーから愛好家まで幅広く愛されているオメガの“シーマスター”。1950〜60年代にかけて大量生産されたため圧倒的に流通量が多く価格がこなれており、防水仕様ケースでコンディションの良い個体も多い超定番シリーズだ。
かつては10万円前後の選択肢も豊富でアンティーク時計の入門機に最適だったシーマスターの相場は、2026年7月現在コンディション良好な個体でノンクロノメーターで20万円台中盤、クロノメーター仕様は30万円台ほどの個体が多い。
非常に多くのバリエーションが存在し、どれを選んでも問題は少ないが、最も安心できるのはやはり550、560系の自動巻き搭載モデルだろう。仮に不具合があってもメンテナンス性が高いため、修理のハードルは高くない。

シーマスターの自動巻きのなかで特筆すべきが、1958年初出の550系キャリバー。全回転両方向巻き上げ、リバーサー式で高い精度と実用性をもたらし、50〜60年代にかけて多くのモデルに搭載された
なかでも大きな支持を得ているのは、Cal.551や564などのクロノメーター仕様搭載モデル。役物だけにほかより若干相場が高い個体が多いが、やはり精度と信頼性の高さは一級品だ。一方で、ノンクロノメーター仕様はほぼ同じムーヴメントを積んでいるにもかかわらず、若干の割安感がある(それでも前述のとおり20万円台中盤と、かつてに比べると高騰している)。
Cal.563搭載機などは当時の日本でも人気を博しただけあって流通数も豊富で、程度の良い個体も少なくない。ただし、いくら防水ケースとは言え過信は禁物。しっかりと整備された個体を選ぶか、購入後にお金をかけてしっかりとメンテナンスを行うことが大切だ。

クロノメーター仕様の“Cal.564”を搭載したオリジナル文字盤&純正ブレスレットのシーマスター。■Ref.166.010SP(168.024)。SS(35mm径)。自動巻き(Cal. 564)。1960年代製。23万8000円
一方で、相場以上に個体の質が変化していると話す関係者も。ヴィンテージオメガ専門店のホワイトキングス代表・山田氏はこう語る。
「正直、いままでが安すぎた印象もあります。1960年代の560系搭載モデルは当時の日本でのヒットモデルが多数含まれていたため、国内相場も安定していました。ただ、昨今の円安とインバウンドの影響で多くが海外に流れた印象です。外装状態の悪い個体も増えており、長く使ううえで極端に安価だったり、過度な研磨が入っている個体は避けたほうが賢明でしょう」
著者profile◎市村 信太郎
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