Q35.現代の時計に採用されるルミノーバはどこの会社が作った?

A.日本の根本特殊化学株式会社によって開発された

 暗い所での文字盤の視認性を高めるために、針やインデックスなどに“夜光塗料”が塗布されるが、かつては放射性物質と蛍光物質を掛け合わせた“ラジウム”と、常に発光する自発光型の“トリチウム”の2種類が存在した。
 ただし放射線を発するラジウムは人体に影響が出るとして1963年ごろにスイスで禁止に、ラジウムの代わりとして次に採用されたトリチウムも、人体に影響がないという基準である、25マイクロキュリー以下とはいえ放射線を発する物質を使用したものだった。
 そして日中の明かりを蓄積して光を徐々に放出する、蓄光型の“ルミノーバ”が開発された。

暗所でのルミノバの明かり。暗所でも十分に時刻が読み取れるのがわかる

 ルミノーバは1993年に、日本の根本特殊化学株式会社によって開発された夜光塗料。酸化アルミとストロンチウムなどを混ぜて焼き、蓄光体ブロックを作り、それを粉末状にしてインクと化し、塗布していくというもの。
 それまでは放射性物質を含む夜光塗料が使われていたために、この開発はとても画期的なものであったようで、これにより各時計メーカーはトリチウムからルミノーバ、および“スーパールミノバ”へと変更していったのである。
 現在のルミノーバ、スーパールミノバの高級時計ブランドでのシェア率は、国内外にてほぼ100%と、実に多くの時計メーカーが採用している。

 

文◎松本由紀(編集部)

 

【関連リンク】
■Q19.金属アレルギーでも着けられるステンレススチールの時計ってあるの?
■Q20.風防はすべて同じ素材なの?
■Q27.デジタルウオッチの種類のひとつであるLEDウオッチは、なぜ徐々に生産されなくなったのか
■Q29.ロレックスのエバーローズゴールドは、普通のピンクゴールドとどう違うのか【ロレックス編】
■Q32.自動巻き時計は毎日巻くとどうなる?