1940年代に12の時計メーカーが製造した、往年の英陸軍向け軍用時計を3万円台で再現!

12の時計メーカーが製造したW.W.Wシリーズ

  Low BEATやPOWER Watchといった時計専門誌の総編集長である私こと菊地吉正がプロデュースするオリジナルの時計ブランド「アウトライン」。その最新作 “ミリタリー type 1940”がこのほど完成した。発売は10月とまだ先なのだが、今回はその新作のモチーフとなった1940年代当時の実際の軍用時計とはどのようなものだったのかを紹介したいと思う。

 ちなみに、新作のミリタリー type 1940はイギリス陸軍タイプとドイツ空軍タイプの2種類がラインナップしている。そのなかから今回はイギリス陸軍向けに作られた当時の軍用時計を取り上げたい。

オメガやジャガー・ルクルトなどスイスの名だたる時計メーカー12社が製造したイギリス陸軍向け軍用時計

 イギリス陸軍の軍用時計で最も有名なのが、第2次世界大戦期(正確には1944年以降)に支給され、愛好家の間ではダーティーダースとも呼ばれたスモールセコンド仕様(独立して設けられた小さな秒針のこと)の3針時計である。与えられた管理コード、W.W.W.は“Water proof Wrist Watch”の頭文字からとったもので、防水腕時計を意味する。

 このW.W.W.では、軍用であるための条件として、第1に“防水性能があること”に加えて、“15石の手巻きスモールセコンドムーヴメントを搭載すること”、そして“黒文字盤で夜光インデックスを採用し、ケースのベルト取り付け部分がハメ殺しであること”といった規格が定められていた。

裏ブタに刻印された「W.W.W.」。“Water proof Wrist Watch”の頭文字からとったもので、防水腕時計を意味する

 当時、この製造を手がけた時計メーカーは、そのほとんどはスイスの時計メーカーである。具体的に名前を挙げると(7本並んだ写真参照)、写真上段の右からビューレン、レマニア、ティモール、下段右からジャガー・ルクルト、シーマ、オメガ、バーテックスだ。この他にもレコード、IWC、ロンジン、エテルナ、そしてグラナの計12社にも及ぶ。つまりこれがダーティーダースの愛称で呼ばれるゆえんなのだ。

 しかも、なかにはオメガやIWCといった現在も人気の高い有名ブランドも手がけていたため信頼性という点でも評価が高く、当時の軍用時計のなかにおいては、その人気はいまなおダントツに高い。

 さていま一度、7個並んだ写真を見てほしい。時計メーカーが違っても、どれも同じような顔つきなのがおわかりいただけるだろう。軍管理のもと同一の規格に基づいて製造されたことから、どれも似た顔つきになってしまうというわけだ。

各社のロゴの下にある“ブロードアロー”。イギリス政府所有の官給品であることを示すマークで裏ブタにも刻印(上の写真参照)されている

 6時位置に独立して配されたスモールセコンド、太めのアラビア数字のインデックスに太めで主張の強い時分針。そして文字盤外周にはレイルウエイトラックと呼ばれる線路のような分目盛りが配されている。かなり視認性を重視したデザインが採用されている。

 そしてもうひとつ、各社のロゴの下に何やら矢印のようなものが見える。これは“ブロードアロー”と呼ばれるもので、イギリス政府所有の官給品であることを示すシンボルマークなのである。すでに17世紀末から使われていたと言われるものだ。

 このダーティーダースは当時大量に作られており、比較的に流通量も多いため、アンティークショップでも見つけやすい。しかも、実勢価格は30万円台から流通しているため、アンティークウオッチの入門機として購入する人は多い。ぜひ、機会があったら実機を見てみてはいかがだろう。

日本製機械式ながら3万円台で実現した、ダーティーダース!

【SPEC】Ref.YK19001-12/ SS(38mm径)/5気圧防水(日常生活防水)/自動巻き(日本製Cal.MIYOTA8245)/3万8880円(組み立て:日本)

 さて、今回製作した“ミリタリー type 1940”は、前述したイギリス陸軍向けの軍用時計、W.W.Wシリーズの雰囲気を再現したものだ。いまや軍用時計の象徴ともいえる完成されたデザインだけに、その雰囲気を損ねないためにも、デザイン的な面での現代的なアレンジはほとんど加えなかった。

 中身の機械はクォーツではなく機械式。日本製にこだわり、シチズン傘下のムーヴメントメーカーであるミヨタ社の日本製自動巻きムーヴメントを採用し、すべて日本で組み立てる。価格は、リベット付とスタンダードタイプの2種類のヴィンテージ風イタリアンレザーの革ベルトを付属して、税込み3万8880円。

 なお、詳しくは時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers(ウオッチメーカーズ)」に掲載している。そちらもぜひチェックしてほしい。ちなみに、同サイトにおいて20〜10%OFFの特別価格で先行受付している。文◎菊地 吉正(編集部)

風防ガラスには1940年代当時と同じアクリルガラスを採用。ぷっくりと膨らんだドーム型も当時に倣ったものだ

軍用時計といえどもデザイン自体はとてもシンプルで見やすく、しかも落ち着いている。ケースサイズも38mmなので無骨な印象は感じない

私が実際に着けてみた。ビジネスシーンでもジャケットスタイルはもちろん、スーツスタイルにも違和感なく合わせられる

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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