【WLN編集部 Recommend】no.006|道具としての必要な機能とスタイルが魅力。ミリ顔ダイバーズ Best3

軍用という要求が生み出す、ツールとしての美しさ

 ここ数年のミニマリズムやノームコアといったトレンドからの反動からか、ややマニッシュな要素を強調したファッションが再注目を浴びているが、そのなかで見逃せないのがミリタリーの復興だ。時計においても、それに引っ張られるようにミリタリーウオッチの注目度がアップしている。
 ミリタリーはもともと時計界で重要な位置を占めてきたジャンルだが、ここ数年は特に各ブランドが積極的に製品展開している様子が見受けられる。

 現在のように通信機器が発達していなかった時代、離れた戦場で同時に作戦を遂行するためには、正確な時計がなくてはならない重要なツールだった。腕時計が生まれたのも作業中にわざわざ懐中時計を取り出さなくても時間が確認できるようにしたかったゆえで、戦場というタフな環境でも使えるように堅牢性もどんどん向上していった。

 一瞬で時刻が読み取れるよう視認性が重視され、そのためにデザインはシンプルで実用重視の無骨なものになっていったが、それがかえってツールとしての美しさにつながっていった。ダイバーズウオッチやパイロットウオッチといった特殊な機能の時計も、戦場での要求に応えて開発されたものだ。

 つまり、現在使われている時計の多くの機能が、ミリタリーウオッチから派生していったものだと考えていいだろう。機能を追求した結果として生まれたスタイリングも、時計ファンの心をくすぐる重要なファクターとなっている。

 

無骨な忠実系から洗練のモダン系まで。多彩なミリ顔ダイバーズ

 例えば、深海という究極の環境下で潜水士や特殊工作員の生命を預かるミリタリーダイバーズは、1936年にパネライがイタリア海軍特殊潜水部隊のために開発したのがはじまり。
 53年にはブランパン フィフティ ファゾムスが製品化され、その後ロレックス サブマリーナやオメガ シーマスター300といった、現在も人気のある名作が相次いでリリースされた。

 100m以上の深海でも壊れない本格的な防水性能を持ったこれらの時計は、酸素ボンベの残量を計測するためのベゼルに逆回転防止機構、飽和潜水時にヘリウムガスを外部に逃すエスケープバブル、暗い深海でも光を放って時間の読み取りを可能にする夜光インデックスなど、目的に即した非常に特徴的な機能が搭載されるようになる。

 現行ダイバーズでは、セラミックやカーボンなどの新素材をいち早く取り入れるなど、ハイテクの採用に関しては積極的なジャンルだ。そうしたハイテクモデルを選ぶか、伝統的デザインを受け継いだ定番を選ぶか、時計ファンとしてはなかなか奥深いジャンルである。

 今回ピックアップした3本は、3者3様、まったく個性の異なるモデルだが、いずれも軍用時計をルーツにもつ、珠玉のミリ顔ダイバーズウオッチだ。

 


【編集部:船平レコメンド】
PANERAI パネライ
サブマーシブル カーボテック™-42mm


 パネライが新たに採用したのは、カーボンファイバーをハイエンドポリマーのPEEKと高温・高圧で整形した“カーボテック™”という新素材。高い剛性と耐傷性を持ちながら非常に軽量で、マットなブラックの表面には微妙なラインが入っており高級感を感じさせる。

 神秘的なトーンのブルーインデックスはスーパールミノバによる夜光タイプで、ダイヤル表面と別のプレートに描いて型抜きするというかなり複雑な構造を採用。

 大きく張り出したリューズプロテクターやボリュームのあるケースサイズなど、従来のパネライらしい特徴は踏襲しながらも、素材を変えることでここまでハイテク感を高めた点は高評価に値する。パネライが進むべき新しい道を示した意欲作といえよう。

【SPEC】
■Ref.PAM00960。カーボテック™(42mm径/13.92mm厚)。30気圧防水。自動巻き(Cal.OP XXXIV)。211万2000円(税込)

 

【船平のRecommend Point】
「1950年代に製作された軍用の潜水時計からDNAを継承したアイコニックなデザインに加えて、ベゼル、ケースなど外装パーツに採用されているカーボテックの質感がとても印象的なモデルです。カーボンファイバーなどを組み合わせた複合素材であるカーボテック™は、耐衝撃性や耐食性、軽い着け心地が特徴ですが、個人的には木の年輪を想起させる独特の模様の美しさにとても魅力を感じました。重厚さを残しつつダウンサイジングした42mmケースも、手首に乗せたときのバランスが良く好印象です(船平)」

 

【問い合わせ先】
オフィチーネ パネライ
TEL:0120-18-7110
オフィチーネ パネライ公式サイト
https://www.panerai.com

 


【編集部:佐藤レコメンド】
BLANCPAIN ブランパン
フィフティ ファゾムス オートマティック フロッグマン


 フィフティ ファゾムスはフランス海軍の潜水部隊の要請から生まれたモデルだが、本作はそのコラボレーションを記念してフランス軍へ捧げられたトリビュートモデル。

 基本的なデザインは1953年に発表された初代モデルを忠実に再現しつつ、ケースバックには軍の許可を得て特殊潜水部隊の記章をエングレービングしており、世界限定300本ということもあってプレミア感は満点。

 搭載されているムーヴメントCal.1315は、シリコン製ヒゲゼンマイを採用しており5日間のパワーリザーブを搭載した高性能なもので、しっかりと中身がブラッシュアップされている点はさすがだ。

 クラシカルでシチュエーションを選ばずに使えるデザインで、ダイバー用途以外でも幅広く活躍してくれそうだ。

【SPEC】
■Ref.5015E 1130 B52A。SS(45mm径/15.7mm厚)。30気圧防水。自動巻き(Cal.1315)。168万3000円(税込)

 

【佐藤のRecommend Point】
「1953年にフランス軍からの要請に基づいて開発された軍用ダイバーズウオッチの祖、フィフティ ファゾムス。本作はその歴史的コラボレートに敬意を表したもので、時計自体はモダンなスタイリングとスペックを備えています。ハイスペックであるところはもちろん魅力ですが、この特別なモデルの製作に際し、フランス軍がケースバックに特殊潜水部隊のエンブレムをエングレービングすることを許可したという特別感に引かれました。(佐藤)」

 

【問い合わせ先】
ブランパン ブティック銀座
TEL:03-6254-7233
ブランパン公式サイト
https://www.blancpain.com/ja

 


【編集部:堀内レコメンド】
PRIM プリム
オルリーク


 プリムはチェコ共和国に唯一現存する時計メーカーで、ムーヴメントをはじめケースや文字盤、針に至るまで、すべてのパーツを自社製造することができるマニュファクチュールでもある。

 チェコに現在でも根付いているクラフツマンシップの伝統を継承しており、手作業による丁寧な仕事を大事にしていることで時計ファンの注目を集めている。

 オルリークのファーストモデルは1965年に旧チェコスロヴァキア軍向けに200本生産され、このモデルはその復刻モデル。文字盤や回転ベゼルのデザインは60年代当時の雰囲気をそのまま残しているが、ディテールの仕上げもかなりハイレベル。自社製のムーヴメントはシースルーになったケースバックからのぞくことができる。

【SPEC】
■Ref.PR.ORA.38.BK ORLIK。SS(38mm径/14mm厚)。10気圧防水。自動巻き(Cal.98)。40万4800円(税込)

 

【堀内のRecommend Point】
「チェコで唯一現存する時計メーカー。スイスともドイツともまた違った雰囲気で、針の形状や書体など独特のセンスが随所に光ります。目を引く意匠もさることながら、自社一貫生産で細部まで凝った作りとなっている点も魅力。また最近では珍しい赤金メッキ仕様となった自社製ムーヴメントにも注目です。(堀内)」

 

【問い合わせ先】
ブレインズ
TEL:03-3510-7711
プリム公式サイト
http://prim-watch.jp

 

構成◎佐藤杏輔(編集部)/文◎巽 英俊

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