【ロレックス】通信 No.050|新型コロナ禍で乱高下したロレックス市場を振り返える(前編)。7月17日の定点観測にみる実勢価格相場!

 約2カ月間というもの「モデルチェンジ候補」をテーマにお届けしてきたが、あとエアキングを残すのみとなった。ただ、ちょっとここで1回お休みして、新型コロナ禍の影響を受けたここ4〜5カ月間のロレックス市場を振り返ってみたい。今回はその前編として日本市場の動向について書きたいと思う。

 2019年5〜6月にかけて最高値を記録するなど、上昇傾向にあった日本のロレックス市場だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による経済活動の停滞が、世界規模で広がった2月下旬、上昇していた実勢価格は一気に下落に転じ、モデルによっては2カ月間で最大で30万円近くも値下がりした。

 3月のイタリアのロックダウンに始まり、その後はヨーロッパの各国に加えてアメリカにも感染が広がった。拡大の一途をたどり危機的な状況だったこともあって、その値下がりは2カ月以上も続き、最も下落幅が大きかったのは3月から4月にかけてだった。

 日本政府観光局の推計値によると、2月の訪日外国人が前年同月比58.3%減。3月は93%減。さらに4月に至っては統計史上最少の99.9%減の2900人になったと発表している。

 ロレックスは国内消費に加えてインバウンド需要もかなり高かっただけに、パンデミックによる各国の渡航禁止の影響が価格相場に大きく影響したことがうかがえる。加えて3月から日本の大都市圏でも感染者が増え、4月7日には緊急事態宣言が発出され、経済活動の自粛に伴う経済と消費の停滞も下落に拍車をかけた。

通称“時計通り”と呼ばれるほど、高級時計ブランドの正規ブティックが建ち並ぶ銀座の並木通り。緊急事態宣言下は日曜日であってもほとんど人影がなかった

 上に掲載した写真は、いまや“時計通り”と呼ばれるほど、ロレックスをはじめ有名時計ブランドの正規ブティックが建ち並ぶ銀座の並木通りである。緊急事態宣言による営業自粛ですべてのブティックが休業していたため、撮影したのは日曜日の昼頃だったにもかかわらず人影がまったくない。筆者もはじめて目にする光景だった。

 さて、下のグラフを見ていただきたい。これは主要な11モデルについて2019年1月から最近までの実勢価格の推移をクラフ化したものである。グラフを見るとコロナ禍に見舞われた最近だけでなく19年も実勢価格がかなり乱高下していることが見て取れる。

2019年1月から2020年7月までの実勢価格の推移(毎月15日前後の相場)。Watch LIFE NEWS「週間ロレックス相場」より

 この原因については見方も様々だが、インバウンド需要に加えて株高も後押ししたことが大きい。さらに、デモが激しさを増していた香港情勢や韓国との関係悪化なども少なからず影響し、仕入れ面などの要因も絡んでいたとも言われていた。

 一方、日本市場で最高値となった19年6月だったが、その直後から9月にかけての3カ月間で大暴落した。これについては急激に上がりすぎた実勢価格に対して一般の時計ユーザーがついていけず需要が落ち込む、いわゆる“揺り戻し”のような状況だったのではないかとみられている。

 いずれにせよ19年は一般消費だけでなく投資的な意味合いも大きく絡んだこともあって、一般ユーザーからしてみれば手を出しにくい状況だったことは確かだ。

 ただ、その状況を一変させたのが新型コロナウイルスである。グラフが示すように、19年9月以降から右肩上がりを続けていた実勢価格は、20年2月の最高値を境にして急激な下落に転じている。先にも触れたが、緊急事態宣言下、日本における営業や外出の自粛など経済や社会活動の停滞が影響していることに加えて、訪日外国人の激減も大きく関係した。

 当然、緊急事態宣言を受けて並行輸入店も各社営業を自粛していた。しかしながら、この値下がりを受けて商品自体は、インターネットを介してかなり動いていたようだ。そのため世界的な経済の停滞により入荷も少なかったことから、消費が停滞していたといっても決して在庫がだぶついていたという状況ではなかったとある都内のショップは言う。

 そんなロレックスの実勢価格だが、5月に入るとゴールデンウイーク明けから早くも上昇に転じている。まだ緊急事態宣言下にもかかわらずだ。グローバルの流通網がいまだに復活してないためかは定かでないが、流通量自体も少ない状況が続いているようで、いまではすっかりと下落前の実勢価格に戻ってしまった。しかもそれは、いまや値下がりする前の2月の価格どころか、それ以上に高騰している状況だ。

 さて、次回は後編として新型コロナ禍がもたらしたスイス時計産業の劇震について触れたいと思う。

■ 主要11モデルの月間ロレックス相場(7月17日更新)
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【GMTマスターII/Ref.126710BLRO】国内定価102万800円
・実勢価格:186万円→207万円(↑) 先月より21万円アップ(先週より15万円アップ)

【デイトナ/Ref.116500LN】国内定価138万7100円
・実勢価格:265万円→280万円(↑) 先月より15万円アップ(先週より2万円アップ)

【サブマリーナデイト/Ref.116610LN】国内定価94万3800円
・実勢価格:135万円→140万円(↑) 先月より5万円アップ(先週より1万円アップ)

【サブマリーナデイト グリーン/Ref.116610LV】国内定価98万7800円
・実勢価格:181万円→182万円(↑) 先月より1万円アップ(先週より1万円アップ)

【ミルガウス/Ref.116400GV】国内定価87万6700円
・実勢価格:95万円→97万円(↑) 先月より2万円アップ(先週と変わらず)

【ヨットマスターロジウム/Ref.126622】国内定価126万5000円
・実勢価格:147万円→157万円(↑) 先月より10万円アップ(先週より1万円アップ)

【ディープシー/Ref.126660】国内定価133万1000円
・実勢価格:145万円→153万円(↑) 先月より8万円アップ(先週より3万円アップ)

【エアキング/Ref.116900】国内定価67万6500円
・実勢価格:76万円→77万円(↑) 先月より1万円アップ(先週より1万円アップ)

【デイトジャスト/Ref.126200】国内定価74万3600円
・実勢価格:73万円→73万円(→) 先月と変わらず(先週と変わらず)

【エクスプローラーII/Ref.216570】国内定価87万5600円
・実勢価格:106万円→113万円(↑) 先月より7万円アップ(先週より3万円アップ)

【エクスプローラーI/Ref.214270】国内定価68万7500円
・実勢価格:87万円→88万円(↑) 先月より1万円アップ(先週より1万円ダウン)

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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