【ビギナー必見】アンティーク時計の選び方講座|第2回 知っておきたい精度の意外な許容範囲

 よく“アンティーク時計は作りがいい”と言われる。
 当時の時計のほとんどが長く使うことを前提に作られていたため、確かにしっかりとしたものは多いのだが、現行品のように気にせずガンガン使えるかというとそれは違う。

 なぜなら古いものであることにはなんら変わりはなく、経年による劣化などが避けられないからだ。
 そのため普段使いするうえでは、それなりに注意も必要となる。
 アンティークウオッチを楽しむには、古いがゆえの弱点も頭に入れておく必要があるのだ。

 そこで、アンティーク時計を購入するうえで憶えておいてほしいポイントをビギナーにもわかりやすく紹介していく本連載。前回取り上げた「防水」に続き、今回は「精度」について解説する。

前提として精度は現行に劣る

 防水と同じく、精度という点においても、現行品とアンティーク品とでは性能も考え方もまったく違う。
 よく時計の精度を表す数値として日差何秒と表現されるが、現行品の一般的な機械式時計で日差マイナス15秒〜プラス25秒以内。COSC(クロノメーター)認定機だと日差マイナス4秒〜プラス6秒以内が目安となる。

クロノメーター認定を受けていることを文字盤に記載しているブランドは多い

 それに対してアンティークの場合は、日差2分以内までが一般的に許容範囲とされている数値である。つまりその差は歴然。
 アンティークを楽しむには、そもそもそういうものだという認識をもっておく必要があるのだ。この差は、もちろん性能の差なのだが、1960年代のものはロービート機と呼ばれており、テンプの振動数が低い。
 この振動数とはテンプが1秒間に何回往復したかを表している。ちなみに1回の往復で2振動となる。ロービート機とは毎秒6振動(毎時2万1600振動)以下を指しており、60年代のほとんどの機械は毎秒5振動(毎時1万8000振動)か毎秒5.5振動(毎時1万9800振動)だ。
 それに対して現行品はハイビート化され毎秒8振動(毎時2万8800振動)とかなり高い。つまり、現在は高振動化することで精度を高めていると言えるのだ。

1960年代になると、高振動化することによって精度を高める方法が一般的になってきた。毎時3万6000振動というハイビートムーヴメントが徐々に増え始めてきたのもこのころからだ

 このように、確かに精度だけをみると見劣りしてしまうアンティークウオッチだが、ロービート機にはロービートならではの良さもちゃんとある。
 容易に高い精度が出せるハイビート機に対して、ロービート機は精度を出すために、素材や作りなど各パーツのクオリティまでもかなり吟味されている。しかも、トルクの強いゼンマイを使用して回すため、トルク自体に無理のない設定がなされており、とても安定していてバランスが良いことも特徴だ。

 また、パーツの摩耗という点でもメリットは大きい。ハイビート機は高回転で動かすためにパーツにかかる負荷も当然大きくなる。ロービート機は、回転がゆっくりなぶん金属摩耗を最小限にできるのだ。
 精度的には見劣りするものの、無理のないロービートの設計ならば、しっかりとメンテナンスさえすれば、何十年も使い続けることができるのである。

 それでは最後に、当時のクロノーメーターモデルを3本紹介したい。

 

オメガ/コンステレーション

オメガからクロノメーターモデルとして展開された“コンステレーション”の1970年代モデル。
■SS(35㎜径)。自動巻き(Cal.1011)。1970年代製。参考価格17万円

 

ロレックス/デイトジャスト サンダーバード

デイトジャストに双方向回転ベゼルが装備され、スポーティな雰囲気を強調した通称“サンダーバード”。
■Ref.1625。YG×SS(36㎜径)。自動巻き(Cal.1560)。1960年製。参考価格75万円

 

モバード/ラウンド

クロノメーター認定を受けたCal.150MNを搭載するモバードの3針モデル。独特な形状のラグやツートン文字盤など個性が光る1本。
■SS(28㎜径)。手巻き(Cal.150MN)。1940年代製。参考価格18万円

文◎堀内大輔(編集部)

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