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【いま、インドの時計が面白い!!】スパイスを効かせた“インドウオッチ”から、注目の2ブランドを選出

》欧米ブランドとはまったく異なる、独自の世界観とデザインが面白い

 インドと言えば、紀元前2500年頃までさかのぼるインダス文明を原点とする長い歴史と文化、ヨガ、香辛料、ボリウッド、IT産業、鮮やかな色彩、スピリチュアルなど、様々な印象を持つ人が多いが、意外にも時計製造業のイメージは一般的にないかと思う。

 確かに、スイスのように伝統を受け継ぐ時計ブランドはないのだが、インドは宝石の集積地として知られており、宝飾の分野で職人文化と伝統を築いてきた歴史がある。近年の急激な経済成長を土台にして、時計産業に関しても活発な動きを見せているのだ。今回は、そんなインドの時計産業を牽引している2つの時計ブランドを紹介する。

 これらの2つのブランドは、 現地での製造と世界中からの部品調達の両方を可能にするためにインフラを整え、彼らの国では未知の領域であるインドでウオッチブランドを立ち上げた先駆者でもある。 両ブランド共にインドのテイストを十分に感じさせるユニークな時計をデザインすることに成功している。 将来的にインド周辺各国からウオッチブランドが登場するのか興味が尽きない。


【BANGALORE WATCH COMPANY(バンガロール・ウオッチ・カンパニー )】

 バンガロール・ウオッチ・カンパニーは、Nirupesh JoshiとMercy Amalrajの夫婦によりインド南部の都市、バンガロールで創業した新興時計ブランドだ。 アジア各国でIT関連産業に従事し、赴任した香港で高級時計の世界に魅了された2人は自らの貯蓄を投資し、2017年にバンガロール・ウオッチ・カンパニーを立ち上げた。当然ながら、 時計業界は未経験であったが、IT業界で培った経験とネットワークを活かし、マイクロブランドとして参入を果たしたというわけだ。

 同社のマーケティングはインドの自国民のみならず、世界中に住んでいるインド人にも目を向けており、設立して間もないブランドではあるが、熱狂的なファンを増やしている。


ルネッサンス・オートマティック
 ブランドデビューモデルである、ルネッサンス・オートマティックではミッドセンチュリーのインド時計職人からインスピレーションを得ており、モダンな3針のデザインをベースに、金属のボールを埋め込んだ外周のパールドロップ、楔形インデックスなど、クラシックなディテールがデザインに個性を加えている。

■SS(40mm径)。自動巻き(ミヨタ 9015 /42時間パワーリザーブ)。100m防水。3万8799ルピー (約5万5000円)

ルネッサンス・スティリ
 ルネッサンス・オートマティックはレディースコレクションも展開しており、スワロフスキーを施したピーコックのカラー文字盤がインドらしい特徴を表している。

■SS(36mm径)。クォーツ(ロンダ社製)。3気圧防水。3万2799ルピー (約4万6600円)

カバー・ドライブ
 最初のモデル以来、バンガロール・ウオッチ・カンパニーはインド空軍にインスパイアされたパイロットウオッチも展開され、最新コレクションはインドで大人気のスポーツ、クリケットにインスパイアされたスポーツウオッチ“カバードライブ”を発表している。
12時位置にはクリケットの特徴でもあるウィケットとバットを模した秒針、ベゼルは特定の試合の規定投球数をトラッキングをすることが可能である。文字盤の4と6は4ラン、6ランというクリケット特有の得点システムを表現している。

■SS(40mm 径)。自動巻き(セリタSW200)。100m防水。5万6680インド・ルピー /(約8万500円)

》バンガロール・ウオッチ・カンパニー公式サイト
https://www.bangalorewatchco.in


【Jaipur Watch Company(ジャイプル・ウオッチ・カンパニー) 】

 デリー南西約260kmに位置する、ジャイプルに本社を置くジャイプール・ウオッチ・カンパニーは、Gaurav Mehtaによって設立されたインド初、そして唯一と思われるオーダーメイドのウオッチカンパニーである。

 彼はイギリスでリスクマネジメントの修士号取得したのち、保険仲介業を経営していたが仕事に満足できなかったため、趣味であるコイン収集と時計を追求した。 英国在住時代からコインコレクターであった Gaurav Mehtaは、コインと時計を組み合わせた時計を作ることを決意し、友人からお金を借り、車を売却し、2013年にJWCをスタート。現在では年間1,700本以上の時計を製造、販売している。

 イギリス、ドバイなど、世界中から受注をうけており、創業者であるGaurav Mehtaは、インドの時計メーカーを志す者に向けて、「メイド・イン・インド」を新たなレベルに引き上げることにより、初めてインドの時計産業が成長するというメッセージを伝えている。 彼の大きな目標のひとつには、インドが高級時計の産地して認められる国になることである。


アンティクアウオッチ
 時計パーツは世界各国から調達し、インドのバンガロールで製造されている。 時計の文字盤に使用されているコインは、世界中から収集したGaurav Mehtaの個人的なコインコレクションから選び出しているというのが面白い。

■ゴールドコインダイヤル (42mm径) 。自動巻き(ETA社製)。54万440インド・ルピー (約76万5600円)

ミュージカリー エングレイブドⅠ
 神秘的な音色を奏でる北インドを代表する伝統楽器、シタールをモチーフにしたビスポークコレクションの1本。シタールはちょうたんの実を使った共鳴胴と長く伸びる棹を備えた優美でグラマラスなフォルムが特徴なのだが、ひょうたんの蔓や葉っぱをモチーフにしたハンドエングレーブを施している文字盤、シタールを模した時分針など、独創的で魅力的なデザインが目を引き付ける。

■手巻き。34万8100インド・ルピー (約48万7340円)


 ケースの側面やラグはもちろん、裏ブタ、ムーヴメントにも手作業の細かいエングレーブが施されている。

ハヌマーン ウオッチ
 古代インドの叙事詩“ラーマーヤナ”にも登場し、北インドを中心に幅広い地域で信仰されてるヒンドゥー教の猿神“ハヌマーン”をモチーフにしたエングレーブウオッチ。緻密なスケルトン文字盤とアイコニックなハヌマーンのレリーフがインドらしい雰囲気を感じさせる。

■手巻き(ETA社製)。34万8100インド・ルピー (約48万7340円)


 こちらもシタールをモチーフにしたモデルと同じく、裏ブタ、ムーヴメントにも手作業の細かいエングレーブが施されている。

》ジャイプール・ウオッチ・カンパニー公式サイト
https://jaipur.watch/index.php?route=common/home


文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。

https://www.instagram.com/spherebranding/

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