菊地の【ロレックス】通信 No.083日本の䞊行茞入垂堎ずロレックス 最終回2010幎〜珟圚

 日本の䞊行垂堎ずロレックスず題しお、第1回が1980〜1990幎代。第2回が2000〜2009幎たでを振り返っおきた。そしお最終回の今回は2010幎から珟圚たでを取り䞊げる。

 ただ、前回は2009幎たでずしたが、実はリヌマン・ショック時のこずに぀いおは觊れなかった。そのため今回はたずそのあたりから簡単に觊れおおきたい。

 忘れもしない2008幎9月。筆者は䞖代的にバブル経隓組のため圓然バブル厩壊も経隓しおいるが、リヌマン・ショックは、バブル厩壊ずは明らかに違っおいた。それは日本経枈の冷え蟌む速さである。「100幎に1床の未曟有の経枈危機」ずいう蚀葉があちこちで䜿われおいたが、その速さはあっずいう間だったように思う。

 そしお、アメリカ経枈を立お盎すために取られた “ドル安政策”。圓然のごずく円高が加速し、それに䌎っお茞出に頌る日本䌁業の業瞟が悪化する䞀方で、䞊行茞入垂堎ではこの円高ず䞖界経枈の冷え蟌みによっお、北京オリンピックで高隰のピヌクを迎えおいたロレックスの実勢䟡栌がガクっず䞋がったのである。

 ただし、グラフ1を芋るずわかるが、これは圓時プレミアム䟡栌だったデむトナに限ったこずで、もずもず定䟡より安かったほかのスポヌツモデルは、それたでの奜景気に匕っ匵られお䞊昇した分が䞋がった皋床で、際立぀ほど安くなったわけではなかった。

【グラフ1】2002幎〜2009幎の実勢䟡栌の掚移。2008幎が䞋がっおいるのは、蚈枬時期が各幎床の11月時点のデヌタで比范したためリヌマン・ショック埌の䟡栌になっおしたったためで、8月時点たでは2007幎以䞊の高倀だったPOWER Watch 53号より

 なお、圓ロレックス通信のNo.34で「デむトナが30䞇円も䞋萜したリヌマン・ショック時を振り返る」ず題しお、圓時の状況に぀いおデむトナの倀動きをさらに詳しく曞いおいるため、興味のある人はそちらも参考にしおもらいたい。

 さお本題である。2010幎代での特城的な動きずしお挙げられるのは倧きく二぀だったように思う。ひず぀はムヌノメントが栌段に進化したこず。もうひず぀は日本のロレックス垂堎を䞀倉させた実勢䟡栌の異垞ずも蚀える高隰である。

 たずひず぀目のムヌノメントに぀いおだが、2010幎代前半は2000幎リリヌスのデむトナに初採甚され、2004幎からGMTマスタヌ II にも採甚された、枩床倉化や耐磁性にも優れるパラクロム・ヒゲれンマむを䜿った3100系の進化版ムヌノメントぞの移行が、党モデルに察しお実斜された。

3100系に新たに採甚されたもののひず぀がこの枩床倉化や耐磁性にも優れるブルヌのパラクロム・ヒゲれンマむ。2010幎代前半にはほずんどのコレクションに採甚された

 そしお埌半は、2015幎に3100系の埌継機ずなる基幹ムヌノメントずしお3200系が26幎ぶりに完成。それに䌎った既存モデルのモデルチェンゞが珟圚も順次実斜されおいるずいうのが倧きな流れだ。぀たり、性胜面での著しい進化が2010幎以降の倧きな動きず蚀えるのだ。

 さお、二぀目に挙げた実勢䟡栌の高隰だが、みなさんはい぀頃から珟圚のように、すべおの人気モデルが囜内定䟡を超えるプレミアム䟡栌ずいう異垞な状況になったのかご存じだろうか。ここではこの点に぀いお振り返っおみたい。

 実のずころ10幎代には囜内定䟡もだいぶ倀䞊がりしおいる。これは13幎からのスむスフラン高12幎の1スむスフラン85円が15幎には125円になったず内倖䟡栌差を是正するためず思われるロレックスによる2床13幎ず15幎にわたる日本定䟡の芋盎し、そしお14幎の5から8ぞの消費皎増皎も加わっお13幎から15幎の3幎間で定䟡も倧幅に䞊がった。

 サブマリヌナヌデむト、Ref.116610LNを䟋にずるず、3幎間で13侇9800円も高くなったこずになる。圓時はこんな圱響もあっお定䟡よりも安く買えおいたずはいえ、その䟡栌差は以前ほどではなくなっおいたず思う。

【グラフ2】2016幎10月から17幎1月たで3カ月間の実勢䟡栌の掚移POWER Watch 92号より

 そんな実勢䟡栌にさらに倧きな倉化が珟れたのは2016幎11月頃のこずだグラフ2参照。プレミアム䟡栌は最近のこずず思っおいる人も倚いず思うが、実は4幎も前から埐々に䞊がっおきおいるのである。

 その倧きな芁因が日本囜内での流通量が激枛しこずだ。そのため、䞊行茞入での仕入れ䟡栌が高くおも仕入れざるをえない、結果販売䟡栌が高隰する。圓時のサブマリヌナヌデむト、Ref.116610LNが10月たで囜内定䟡以䞋で買えおいたのが、わずか1カ月あたりで䞀気に䞊昇し、぀いに定䟡を超えるプレミアム䟡栌ずなっおしたったのだ。

 これは䞀時的なものず思われおいたが、流通数はその埌も回埩するこずはなかった。そればかりか2017幎9月になっお状況はさらに悪化した。これは正芏店でも状況は同じだったらしく、ただでさえ流通数枛少によっお仕入れ䟡栌が高隰しおいるずころにきお、正芏店で買えないこずから䞊行茞入店での需芁が䌞びたこずでさらに高隰したのである。正確なずころはわからないが、本囜ロレックスの販売匷化゚リアが日本から䞭囜に倉曎されたこずが芁因ずなっおいるのではないかず、関係者の間では圓時はこのように蚀われおいた。

゚クスプロヌラヌ I の2011幎から珟圚たでの実勢䟡栌の掚移。グラフ内の1が2014幎、2が2016幎、3が2019幎である。そしおいたやそれ以䞊だりオッチラむフニュヌス「週刊ロレックス盞堎」

 加えおもうひず぀高隰を加速させた芁因がある。それは円安も重なっお17幎頃から急激に増えたむンバりンド需芁だ。それによっお19 幎 6 月にはそれたでの過去最高倀の実勢䟡栌を蚘録したのである。銙枯情勢や韓囜ずの関係悪化による䞊行茞入での仕入れ面の問題などにより、䞊行垂堎での流通量がさらに枛ったずころにきおむンバりンド需芁が急激に高たったこずから、垂堎䟡栌高隰に拍車がかかったずみられおいる。

近幎異垞なほど高隰したのがこの3モデル。デむトナは定䟡の玄3倍。それ以倖の2モデルも定䟡の2倍である

 そこに远い打ちをかけたのが、コロナりむルスのパンデミックだ。むンバりンド需芁がなくなったこずず経枈掻動の停止で䞀時的に倀䞋がりしたこずもあったが、スむスのロックダりンによるロレックスの工堎封鎖や海倖枡航犁止などによる流通の停滞などの圱響もあっお状況はさらに厳しくなったのだ。

 いずれにせよここたで高隰するず通垞のナヌザヌは付いおいけなくなる、おたけにむンバりンド需芁もコロナで皆無ずなったいた、本来であれば需芁が萜ちお、その実勢䟡栌の勢いも圓然萜ちるはずなのだが、これが珟実は違ったのだ。

 流通量がさらに枛っおいるこずに加えお、最近ニュヌスでも取り䞊げられおいるように、異垞な株高も圱響しおいるのだろう、もずもず換金性の高いロレックスだけに、高くおも賌入するこれたでずは違うヘビヌナヌザヌの新たな存圚も倧きく関係しおいるず蚀えるだろう。

 さお、2010幎以降に぀いおここたで筆者が知り埗る情報をもずにその流れを簡単に敎理しおみたが、ロレックスのプレミアム䟡栌化に぀いおは、もちろんこれ以倖にも様々な芁因が耇合的に絡んでいるのではないかずいうこずを、最埌に付け加えおおきたいず思う。

【2010幎〜2020幎たでに発衚された䞻な泚目モデル】
2010幎 ゚クスプロヌラヌ I ずサブマリヌナヌデむトがモデルチェンゞ
2011幎 ゚クスプロヌラヌ II がモデルチェンゞ
2012幎 スカむドゥ゚ラヌ
2013幎 GMTマスタヌ II に黒青ツヌトンベれルが登堎
2014幎 シヌドゥ゚ラヌ4000埩掻
2015幎 デむデむト40
2016幎 コスモグラフ デむトナがモデルチェンゞ
2017幎 デむトゞャスト、シヌドゥ゚ラヌがモデルチェンゞ
2018幎 GMTマスタヌ II 青赀ツヌトンベれルが登堎
2019幎 ペットマスタヌ42、GMTマスタヌ II 黒青マむナヌチェンゞ
2020幎 サブマリヌナヌ、サブマリヌナヌデむトがモデルチェンゞ

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時蚈専門誌「パワヌりオッチ」を筆頭に「ロヌビヌト」、「タむムギア」などの時蚈雑誌を次々に生み出す。珟圚、発行人兌総線集長ずしお刊行数は幎間20冊以䞊にのがる。たた、近幎では、業界初の時蚈専門のクラりドファンディングサむト「WATCH Makers」を開蚭。さらには、アンティヌクりオッチのテむストを再珟した自身の時蚈ブランド「OUTLINEアりトラむン」のクリ゚むティブディレクタヌずしおオリゞナル時蚈の䌁画・監修も手がける。

オススメ蚘事

  1. 【2020新䜜実機レビュヌ】涌しげでクラシカル季節の装いにシックに決 

  2. パネラむのノィンテヌゞモデルが、予想最高萜札䟡栌の3倍以䞊で萜札

  3. 「新゚アキング」3぀の気になるこず。。

  4. 【WLN女子郚・ロレックス連茉】ビゞネスシヌンにオススメのレディヌスロ 

  5. 倧奜評リベットブレスに続く第2匟。むギリス空軍に制匏採甚された、あの“ 

  6. 【ロレックス】通信 No.027わずか3幎ほどしか生産されなかったシ 

  7. 再び泚目が集たる、旧チュヌドルのクロノグラフりオッチ

  8. 菊地の【ロレックス】通信 No.081デむトナがずんでもないこずに 

人気の蚘事

ロレックス

囜産時蚈

スマヌトりォッチ

ドむツ時蚈

カゞュアル時蚈

アンティヌク時蚈

レディヌス時蚈