かつて人気を博した90年代の時計たち! 【第4回|ゼニス レインボー フライバック】

 ゼニスは、高級路線に舵を切った2003年以降から100万円前後のモデルを主軸としたラインナップとなってしまったが、それ以前は、クロノグラフといえば必ず人気の上位に顔を出すほど、時計好きの間でも高い人気を誇ったブランドで、価格面でも頑張れば比較的に手の届く存在であった。そして、その代表的モデルとして挙げられたのがこのレインボー フライバックである。

レインボーコレクションの派生機として1997年に登場したレインボー フライバック。フランス空軍の協力で開発されたといわれる

 最高峰の傑作クロノグラフムーヴメントとして知られ、かつてロレックスのデイトナにも採用されたあのエル・プリメロにフライバック機構をプラスしたCal.405を搭載。1997年にフランス空軍の協力により開発された。

 フライバック機構とは、クロノグラフ針が作動中、ストップボタンを押さずダイレクトに4時位置のリセットボタンを押すことで瞬時にすべての計測針をゼロリセットさせることができ、その後に再度スタートボタンを押さずとも自動的に再計測が始まるというもの。つまり、着陸待ちで旋回しているパイロットが経過時間を計り直すときなどに役立つ機構だったようだ。

経過時間が視覚的にも瞬時に把握できるようにと5分ごとに色分けされている。これがデザイン的にも個性的かつレーシーな雰囲気を強めていることもあって、後に黒一色の文字盤タイプが発売されたものの、人気は圧倒的にこのタイプだった

 3時位置にある30分積算計の多色使いやベゼルの目盛り、そして計測針に赤が使われるなどカラフルな印象から“レインボー”という名前がついたと勘違いされることも稀にあるが、実際には1934年のアメリカズ・カップで優勝した“レインボー号”にちなんだもので、エル・プリメロ復活の象徴として92年に投入されたクロノグラフのコレクション名に採用されたものだった。

 つまり言うなればレインボーコレクションに属するフライバックモデルという意味なのである。そして99年にはカラフルなモデルのほかに黒一色のバリエーションも登場している。

 当時の並行市場での新品実勢価格は40万円前後。エル・プリメロにフライバック機構搭載でこの価格は、いまから思えばビックリするほど魅力的な価格だ。それに対して現在のユーズド価格も40万円前後といった感じだ。特にカラフルなタイプは流通量がそれほど多くないため、コンディションも含めて納得のできる個体と出合えるかがポイントとなるだろう。

レインボー フライバック
■商品データ
生産期間:1997〜2003年
素材:ステンレススチール
ケース径:40mm、ケース厚:12.5mm
新品時の防水性:100m防水
駆動方式:自動巻き(Cal.405/エル・プリメロ)
その他:フライバッククロノグラフ(30分積算計、12時間積算計)、スモールセコンド、双方向回転ベゼル、テレメーター
当時の国内参考定価:58万円

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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