アンティーク時計

はじめてのアンティーク時計におすすめな定番モデル-其の2【コンステレーション】

 はじめてアンティーク時計を購入しようとお考えの人におすすめしたいのが、“定番”と呼ばれるモデルだ。常道ではあるが、ことアンティークについては現行品以上に定番を選ぶメリットは大きいといえる。
 そのメリットのひとつが“高い信頼性”だ。
 アンティークはやはり古いものだけに、ある程度の不具合が出るものだが、今日、定番と呼ばれるものは、ムーヴメントにせよ外装にせよ、しっかりと作り込まれているモデルが多いため、それが少ないのである。特にアンティーク時計の扱いに慣れてないうちは、こうしたモデルを選んだほうが安心であることはいうまでもない。そこでアンティーク時計で定番と呼ばれるモデルを取り上げ、その魅力を探る本連載。2回目となる今回は、オメガのコンステレーションにフォーカスする。

定番-其の1【デイトジャスト】

 

定番-其の2/オメガ コンステレーション

 ロレックスに引けを取らないほど、数多くの傑作を世に送り出したオメガ。世界初のムーンウオッチとして有名なスピードマスターなど魅力的なモデルは多いが、こうしたスポーツモデルはロレックス同様に軒並み高騰しており、予算のハードルはやや高い。そんななか実用に申し分ない性能と、リーズナブルな価格を兼ね備えたモデルとしてビギナーにおすすめできるのが“コンステレーション”だ。

当初、オメガは自動巻きに対して懐疑的だったと言われる。しかし他社の成功を受け、同社でも自動巻きの開発に着手。1943年に初の自動巻きムーヴメントを完成させた。その後、48年にクロノメーター仕様の自動巻きモデル“センテナリー”を発表。これがヒットし、新たな柱として自動巻きコレクションの開発を決意したとされる。こうして52年に誕生したのがコンステレーションだ。SS(33mm径)。自動巻き(Cal.1011)。1973年製。参考価格20万円

 腕時計の主力が手巻きから自動巻きへと移行するなか、オメガも1943年に初の自動巻きムーヴメントを完成させた。その最上級ラインとして52年に登場したのがコンステレーションである。
 このコンステレーションのすごいところは全モデルがクロノメーター仕様で、かつそれを量産した点にある。いまほどに製作機械も発展しておらず、パーツの加工精度も高くなかった当時、クロノメーター級のムーヴメントを量産するのは決して容易ではなかっただろう。そんななかオメガでは72年までにクロノメーター認定に合格したコンステレーション用ムーヴメントが述べ200万個に達したという記録が残っており、これは他社に抜きん出ている。

1952年から製造が開始されたコンステレーションは70年代まででも、実に11ものムーヴメントが採用された。いずれもクロノメーター仕様であり、基本性能は高いため基本的にどれを選んでも不具合は少ない。なお最初に採用されたCal.354のみ半回転式ローターで、以降は全回転式が採用されている。前者は巻き上げ時に独特なショックがあり、好みが分かれるところなので、購入の際には実際に試してみることをおすすめする

 いまのようにスマートフォンなど、極めて正確な時刻を表示するものが身近になかった当時、精度の良し悪しはそのまま腕時計自体の良し悪しに直結するといっても大げさではなかった。それだけに“クロノメーター認定”の有無は、購入するうえでも重要な判断基準のひとつであったのである。加えてコンステレーションはステンレススチール仕様からゴールド仕様まで様々な価格帯で展開された。この選択肢の多さも支持を得た大きな理由である。
 他方、バリエーションが非常に多かったコンステレーションでは、ムーヴメントも多くの種類が採用されている。フラッグシップだけにどれを選んでも基本的に問題ないが、実用を考えるならば、ベースムーヴメントの精度が安定している550/560系キャリバーがおすすめ。もうひとつ裏ブタがネジ込み式となった個体であれば、いっそう安心感がある。
 しかもである。アンティーク時計ではかなり優秀なスペックを備えながら、価格は20万円そこそこから狙えるというのだから、かなりお買い得といえる。

(左から)K14YG。参考価格24万円/GFベゼル×SS。参考価格20万円/SS。参考価格24万円

 

文◎堀内大輔/写真◎笠井 修

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