かつて人気を博した90年代の時計たち! 【第13回|ロレックス デイトジャスト(通称サンダーバード)】

 ロレックスのラインナップのなかでもスタンダードなコレクションに位置付けられるデイトジャスト。このデイトジャストに2013年までラインナップし、現在は姿を消してしまった回転ベゼルを装備した異色なモデル、通称サンダーバードを今回取り上げる

 このサンダーバードだが一説にはロレックスのニューヨーク支店からの提案で生まれ、1956年(54年説もあり)にアメリカ市場向けに販売されたと言われている。そして2013年まで6世代にわたって受け継がれてきた歴史あるモデルなのだ。

デイトジャストのシリーズに属していながらも回転ベゼルを装備しスポーティーな雰囲気も併せもつ異色モデル。サンダーバードの愛称でも知られる

 そして今回取り上げたのは、1988〜2003年まで生産された第5世代目。サンダーバードの愛称で呼ばれた最後のモデルである。サンダーバードとは、アメリカ空軍のアクロバットチーム「サンダーバーズ」に由来する。

 1950年代に当時空軍の英雄とされていた同チームの大佐が引退するのに伴い、この回転ベゼル付きデイトジャストをベースに作られた時計が記念品として贈呈された。それが贈った隊員たちにも大好評だったことから隊員向けにも作られという。そしてロレックスはこのエピソードを拡販のためのプロモーションとしても活用したことからアメリカで広まり、それが定着したことがはじまりと言われている。

ラインナップはステンレススチールケースにベゼルのみホワイトゴールドを使ったRef.16264(右)とベゼルとブレスの中ゴマがイエローゴールドのRef.16263の2種類

 なお、今回取り上げたモデルがなぜサンダーバードの愛称で呼ばれる最後のモデルなのかというと、2004年のモデルチェンジで登場した第6世代は、ターノグラフ(TURN-O-GRAPH)というモデル名が正式に与えられたためである。

 さて、この第5世代サンダーバードだが、ラインナップはコンビモデルのみでオールステンレスモデルは存在しない。ベゼルだけに18金ホワイトゴールドを使用したRef.16264と、ベゼルとブレス中央のコマにだけ18金イエローゴールドを使用したRef.16263の2種類が基本となり、文字盤の色やインデックス違いが存在するぐらいだ。

 装備する回転ベゼルだが、実は双方向に回転するもので、ダイバーズウオッチのような逆回転防止機能は付いていない。あくまでも経過時間を確認するための簡易的なものだ。ただ、これがあることによって、通常ベゼルのほかのデイトジャストにはない、適度なスポーティ感がある。つまりこの点がこのモデルの1番の魅力的な部分だと思う。

回転ベゼルの装飾として1956〜59年頃(62年説あり)まで製造された第2世代から採用されるようになったエンジンターンドモチーフ

 また、後継として登場したターノグラフは、キレイに山形にカットされたフルーテッドベゼルに目盛りが付いた作りとなり、かなり全体がモダンになって雰囲気もガラッと変わってしまった。それに対してこのサンダーバードは、古くからあるエンジンターンドモチーフと呼ばれる装飾がベゼルに施されている。そのため古典的な味わいがしっかり残る。この点も大きな魅力といえるだろう。現在のユーズドの実勢価格は60〜80万円台前半といったところである。

デイトジャスト(サンダーバード)
■商品データ
生産終了年:2003年
素材:ステンレススチール(Ref.16264はベゼルのみホワイトゴールド、Ref.16263はベゼルとブレス中ゴマがイエローゴールド)
ケース径:36mm
防水性:100m防水
駆動方式:自動巻き(Cal.3135)
その他:双方向回転ベゼル、日付け表示
当時の国内定価(税抜き):52万8000円(Ref.16264)、72万円(Ref.16263)

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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