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ちょい古ロレックス、通称“サンダーバード”は今おいくら?|【ロレックス】通信 No.124

 連載124回目はアンティークとまではいかないが、久しぶりにちょい古モデルを取り上げてみたいと思う。それは通称サンダーバードと呼ばれていたデイトジャストである。もちろん現行コレクションにはもうラインナップされていないモデルだ。最大の特徴はデイトジャストでありながらも双方向回転するベゼルを装備していた点にある。

 そして、歴代サンダーバードの中でも今回注目するのは1988年頃に登場した5世代目にあたるRef.16263だ。2004年までの約16年間生産されたロングセラーでもある。

通称サンダーバードの第5世代にあたるRef.16263

 ここであまりご存じのない方のために、そもそもなぜ“サンダーバード”の愛称で呼ばれているのかについて簡単に触れておくと、ドン・フェリスというアメリカ空軍のアクロバティックチーム“サンダーバーズ”の隊長だった人物が1956年に退役するにあたり記念にこの回転ベゼル付きのデイトジャストが贈られたことがきっかけで話題となり、主にアメリカで呼ばれるようになったというのが定説だ。

 そんなサンダーバードの魅力はこの双方向に回転するベゼルにある。これによってベーシックなラインであるデイトジャストのシリーズに属しながらも適度にスポーティさも漂わせる。これがほかのモデルにはない魅力なのだ。ケースサイズも36mm径と小振りで、しかもいまよりも薄い。そのため着けたときに手首への納まりがとても良い。このサイズ感もこのちょい古サンダーバードの大きな魅力といえるだろう。

この古典的なベゼルの装飾と36mm径のほどよいサイズ感がいちばんの魅力だ

 写真の18金イエローゴールドとステンレススチールのコンビモデルのほかに、ベゼルのみがホワイトゴールド製というRef.16264がある。なぜかオールスチールモデルは存在しない。なお、人気はどちらかというとステンレススチールモデルのようにも見える控えめなRef.16264のようだが、筆者的には、写真の黒文字盤×イエローゴールドとのコンビという組み合わせをおすすめしたい。黒文字盤にベゼルのイエローゴールドが際立つことで(逆にこれが嫌だという人もいるだろうが)より古典的な雰囲気が強調され、かつサンダーバードらしさが味わえると思う。

 さて気になる実勢価格は、Ref.16263、Ref.16264ともに60万円台後半から80万円台といったところ。通常のデイトジャストよりも若干高めのようだ。

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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