驚くことに基本的デザインはこれら12社ともすべて同じだった。太めのアラビア数字を使ったインデックスとレイルウエイと呼ばれる線路のようにつながった文字盤外周のミニッツインデックス、そして太めの時分針に文字盤は敵から目立たないように黒が採用された。これはつまり、軍管理のもと先述したように同一の規格に基づいて製造されたからだ。
そしてこのミリタリーデザインは、後に登場する軍用の航空時計“マーク11(IWCで有名だがジャガー・ルクルトも製造)”や50年代以降にハミルトンやエルジンなどのアメリカ軍が採用した軍用時計を見てもしっかりと受け継がれていることがわかる。
いまと違ってコンピュータなどない時代。過酷な条件下で「時間」は生死を分けるという意味においても重要だったに違いない。それゆえ「時間を知る」道具として視認性を最優先したミリタリーデザインは、まさしく実用性から生まれた究極のデザインであり、変えようがないぐらい完成されたものだったと言えるのかもしれない。
【着用時計】
アウトライン ミリタリーType1940
Ref.YK19001-12。SS(38mm径)。5気圧防水。自動巻き(日本製Cal.MIYOTA8245)。3万9600円
公式ウェブサイト
https://outlinewatches.tokyo/collection/type1940
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