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【これで80万円台は魅力かも!】知る人ぞ知るドイツブランド、クドケ(KUDOKE)の絶妙なスケルトンウオッチ!

 クドケ(KUDOKE)という時計ブランドをご存じだろうか。時計好きの間では知られる存在だが、けっこう独創性に富んだ個性的なコレクションを展開しているため一般の方にはあまりなじみがないかもしれない。

 時計師であると同時に彫金師でもあるステファン・クドケが自身の名を冠して2007年にドイツで立ち上げた新興の時計ブランドである。そしてクドケが注目されるきっかけとなった代表作がトップに掲載したスケルトンウオッチのコレクションだ。

「LAST LOOK」に登場した “リアルスケルトン”。9時位置にスカルモチーフをあしらった独創的なスケルトンウオッチだ。映画で使用された現物はフィリップスのオークションにかけられて2万160ドル(130円換算で262万800円)で落札された

 筆者もドイツの工房へは何度か訪れたことがあるが、そんなクドケ氏から昨年(2022年)12月にニュースメールが届いたのである。その内容とは、クドケのスケルトンウオッチの中の“リアルスケルトン”というモデルが、22年2月にアメリカで公開されたハリウット映画「ラストルック(LAST LOOK)」に重要な小道具として登場。その実際に使われた時計は22年12月に開催されるオークションハウス“フィリップス”のニューヨークオークションに出品されるというものだった。

 結果は2万160ドル(130円換算で262万800円)という、日本の定価が137万5000円のため約2倍のハンマープライスとなった。ちなみにこのクドケの“リアルスケルトン”は、原作となったハワード・マイケル・グールド著の本「LAST LOOKS」(2018 年刊)の50 ページに「…彼のスチームパンクなクドケ スケルトン….」と実際に小説の中にも書かれていたというから、さぞ本人も驚いたことだろう。

クドケの代表作のひとつ“ブラックビューティ”

 さて、クドケ氏自身は、念願だった自社ムーヴメント、“カリバー1(Kaliber1)”を完成させ、その搭載モデルとして、これまでのスケルトンウオッチコレクションとは違う “クドケ1(KUDOKE 1)”を発表。その技術力や独創性が高い評価を得て独立時計師協会(AHCI、通称アカデミー)の準会員(現在は正会員)に選出され、さらには、派生モデルとして作った“クドケ2(KUDOKE 2)”については、GPHG(ジュネーブ時計グランプリ)にて“小さな針賞”を受賞するまでに至った。

 このような彼の実績を考えると代表作でもある“ブラックビューティ”の国内定価88万円は、いまとなってはかなりお買い得にさえ思えるぐらいである。

問い合わせ先:シェルマン日本橋三越店 TEL.03-6225-2134

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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