国産時計 小スライド 連載記事 @kikuchiのいまどきの時計考

【懐かしい】1970年代の日本にもあった腕時計のカラー文字盤ブーム。その背景にあったこととは!?

モルフォ蝶の羽を転写して作った文字盤は、独特の質感をもちどこか神秘的とさえ感じる(画像をクリックすると拡大します)

確かにこの時代の家庭家電や食器などを見るとカラフルなものが多く訴求されており、カラー化はこの時代において新しさを表現するにはちょうどよかったとことも背景にあったのであろう。

一方、今回のカラー人気はどうか。2020年といえばまさにコロナ禍において感染への恐怖が広がるとともに、これまでの日常が奪われるなど、すべての社会活動が停滞した年だった。抑圧されたそんな雰囲気を少しでも明るくしたいという思いは少なからずあったはず。

おそらくロレックスのオイスターパーペチュアルは、それを狙ったというよりは、コロナよりずっと前に製品化自体は決まっていたと思われるため、偶然にもそういった欲求にタイミング良くハマったことが人気を加速させたひとつの要因として挙げられるのかもしれない。

さて、ここに取り上げた時計。ターコイズブルーではないが目の覚める神秘的な青が印象的である。この個体、75年に諏訪精工舎製で作られた初代(初出74年)スーペリアである。クォーツの量産を進めるなか開発された38系キャリバー(普及機)をさらに高精度化し月差±2秒程度に収めたCal.3883を搭載する。

定価は大卒初任給が約9万円の時代に20万円以上とかなりの高額。そのためクォーツといえど外装の作り込みは半端でない。ザラツ研磨が施されたケース、世界一美しい蝶と言われているモルフォ蝶の羽を転写したブルー文字盤、さらにインデックスはミニッツ表示までもがアプライド仕様でしかもポリッシュ仕上げという手の込んだ作りになっているかなりの逸品だ。

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菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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