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オメガ、ロンジンなどが採用した40年代軍用航空時計のロック機構を再現|OUTLINEニュース no.97

ハシゴのような特徴的な軍用ブレスレット「通称バンブーブレス」を装備した「オンタイム・ムーヴ限定」(取扱店舗は記事後半)のアウトライン・セコンドセッティング&バンブー。写真にあるヴィンテージ調レザーベルトも付属する。日本製ハイビート自動巻きCal.9039搭載でなんと各7万4800円が6万6000円に!

アメリカ海軍大佐であり航空航法の第一人者だったP.V.H.ウィームスが、秒単位での経過時間の計測を目的に1929年に考案し、ロンジンが時計として具現化した通称“ウィームス・セコンドセッティングウオッチ”と呼ばれるパイロットウオッチ。40年代のその第2世代を再現したのが“アウトライン・セコンドセッティング”である(詳しくは当連載32回参照)。

第2世代は、経過計測を行うスケールが、文字盤中央の回転ディスク式だった第1世代から回転ベゼルに目盛りを設けたの通称“ウィームスベゼル”に変更され実用性が格段に向上した進化版だった。そのため軍用としても採用されるようになり、ロンジン1社だけでは賄いきれなかったため、オメガやモバード、ジャガー・ルクルト、ゼニスなどの名だたる時計メーカーでも製造された。

左のオメガのセコンドセッティングウオッチはギザギザ型の凹凸がベゼル斜め上方に向いているためL型パーツの山形の突起部が溝の凹部に噛み合う構造。右のモバードも基本は同じだが突起部分が側面に付いるなど微妙に違う

そして、ロンドンの時計商社であったゴールドスミス&シルバースミス社を通じてイギリス空軍に納入。一方、アメリカ陸軍航空隊では主に航空兵が使うナビゲーションウオッチ“タイプA-11”のひとつとして実際に制式採用された。まさに軍用パイロットウオッチの名作のひとつと言える存在なのだ。

そのため、インデックスは軍用では必須となる判読しやすいフルアラビア数字。双方向に回転するウィームスベゼル。そして計測時にベゼルが回転しないように止めるためのロック機構を装備するという仕様は各メーカー共通。ただ止め金具などの仕様はメーカーによっても、時代によっても微妙に違っていた。

1940年代後半に製造されイギリス軍に納入されたと言われるロンジン製のセコンドセッティングウオッチと同型の個体。アウトラインの新作ではこのロンジンが採用したロック機構を再現している

そこでアウトラインでは、このウィームスベゼルを再現するにあたって、イギリス空軍に納入されたと言われるロンジンの40年代当時のセコンドセッティングウオッチ(上の写真参照)が装備していた止め金具の仕様に倣って再現している。

先のオメガとモバードとの違いは二つ。ひとつはベゼル側面に設けられたギザギザ型の溝に一カ所ではなく二つの爪が2カ所で噛み合う構造だという点。もうひとつはその止め金具の両サイドには、ベゼル操作のために金具を緩めたときにそれ自体がくるりと回転してしまわないように、両側にはそれを防止するための突起が設けられている点である。結果これによってネジを締めて固定したときには、さらに堅牢性が増すよう工夫されているというわけだ。

アウトライン・セコンドセッティングで再現したベゼルの回転を止めるためのロック機構

なお、航空兵のナビゲーションウオッチとしてアメリカ陸軍航空隊に調達された当時のタイプA-11といえば、どちらかというとウォルサムやエルジン製の秒針停止機構(通称ハック)が付いたものが主流だったが、このウィームス・セコンドセッティングウオッチは、計測を始める際に秒針を止める必要がないため実際の時刻に影響しないというメリットがあったようだ。

■珍しいバンブーブレスを装着した当時のオメガ製セコンドセッティング

バンブーブレスレットを合わせて軍用時計らしさをグッと強めた1940年前後の製造と思われるオメガのセコンドセッティング

当時のウィームス・セコンドセッティングウオッチと言えば、アンティークウオッチの愛好家の間でも一目置かれる。そして、より軍用らしさを強めるために、一般的な革ベルトではなく上に掲載したオメガのように梯子(ハシゴ)のような形をした通称「バンブーブレス」そ装着して楽しんでいる愛好家は多い。ちなみにバンブーブレス自体も70年代にイギリス空軍での採用実績がある。

そこで、アウトライン・セコンドセッティングでも、そんなミリタリーウオッチの雰囲気を楽しんでもらおうと、バンブーブレスを装備した特別仕様を時計のセレクトショップ「オンタイム・ムーヴ」の限定バージョンとして展開。

ハシゴのように隙間が空いているため夏にこそぴったりなバンブーブレス。イギリス空軍に採用実績もあるため、写真のセコンドセッティングのようなミリタリー顔とよく似合う

このバンブーブレスレットはアウトラインが軍用時計の専門店「キュリオスキュリオ」の監修の下に忠実に復刻し製品化したもので1万9800円で単品販売しているものだ。つまり、本来であれば時計とバンブーブレスのセットで7万4800円のところを6万6000円と特別価格となっている点も見逃せない。

なお“バンブーブレス”は、一般的にはほとんど知られていない。そのためかなりニッチなのだが、それゆえ「これってなに?」と話題になることも少なくない。しかも古典さが逆に新鮮で、シンプルなだけにファッション的にもけっこうカッコイイ。特にセコンドセッティングのようなレトロ調のミリタリー顔に合わせると、夏のビジネスカジュアルにはもちろん、キャンプなどアウトドアスタイルにもしっくり決まる。

時計といい、ブレスレットといい、語りどころ満載のこのオンタイム・ムーヴ限定バージョン。この夏ぜひ楽しんでみてほしい。

[取り扱い店舗]
オンタイム銀座ロフト店 TEL.03-3561-0723
オンタイム渋谷ロフト店 TEL.03-5458-3076
オンタイム吉祥寺ロフト店 TEL.0422-23-2665
ムーヴ新宿マルイ店 TEL.03-5379-0308
ムーヴマルイファミリー溝口店 TEL.044-812-5155
ムーヴ博多マルイ本館店 TEL.092-577-1685

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■セレクトショップ「オンタイム・ムーヴ」限定バージョンは「7万4800円→6万6000円」と特別価格で提供
[アウトライン・セコンドセッティング&バンブー]

【SPEC】
●型番:Ref.20222-1BKBO(ブラック)、Ref. 20222-2BLBO(ブルーグラデ)
●素材:(ケース)316Lステンレススチール、(ブレス)304ステンレススチール、(付属のレザーベルト)イタリア製ヴィンテージ調レザー、裏材は汗に強い合成皮革ロリカ製
●サイズ:ケース径38mm、ケース厚12.7mm
●防水性:10気圧防水(日常生活用強化防水)
●駆動方式:自動巻き(日本製Cal.MIYOTA9039 /24石/毎時2万8800振動(日差-10秒+30秒)/最大巻き上げ時42時間パワーリザーブ/秒針停止機能搭載)
●装備:双方向回転ベゼル、ベゼルロック機構(4時位置)、シースルーバック
●希望小売価格:各6万6000円(組み立て:日本)
●保証期間:1年間

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菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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