小スライド 日本未上陸ブランド

【こんなドイツ時計は見たことない】異色の歴史をもつ新鋭、Löbner(ロブナー)に注目


Löbner (ロブナー)はマティアス・ドゥーヴェルCEOがオーナーを務める、ドイツの日本未上陸のウオッチブランド。原点は1862年にフランツ・ルートヴィヒ・ロブナーによってドイツ北東部で首都・ベルリンに設立された計測機器メーカーであり、1/100秒や1/1,000秒の計測を行えるストップウオッチを製造するなど、ストップウォッチ、クロックのメーカーとして、ヨーロッパ圏の主要レース場で重要な存在となった歴史をもつ。20世紀にはいくつかのオリンピック大会で公式タイムキーパーを務めたほか、数々の競技やモータースポーツで、ロブナーのストップウォッチやタイムレコーダーが世界記録の計測に採用されていたそうだ。


時は流れて2023年、ロブナーはモーターレースにおける歴史的な世界記録と高速計時の驚異的なストーリーにインスパイアされ、現代的な高級時計ブランドとして新たに復活を遂げることになる。新生ロブナーは、“ロケットマン”、“スティールレーサー”、二つのコレクションで精巧な自動巻きクロノグラフを製造しており、いずれも分散型時刻表示と独自のリューズプロテクター(特許)を備え、ドイツの最高品質基準に従い開発。ドイツにおける時計産業の中心地として知られている、グラスヒュッテで手作業で組み立てられている。

【ロブナー独自のリューズガードとムーヴメントをさらに見る】


スティールレーサー

スティールレーサーは1920~30年代の名高いレーシングカーや、ロブナーが製造していたストップウオッチからインスピレーションを得たモデル。 前段でも紹介したが、ロブナーは元々、数々の世界記録を樹立したレースのタイムキーパーを務めていた。このコレクションは技術的な当時のパイオニア精神と、モータースポーツの黎明期に可能性の限界に挑んだ人々への敬意を表しているそうだ。特徴的なのが文字盤のサブダイアルのレイアウトだろう。ロブナーのクロノグラフは独自の複雑機構が搭載されている。中央にクロノグラフ秒針、3時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計、10時位置に時、分、スモールセコンドのサブダイヤルを配置。エングレービングが施されたタキメーター・ベゼルで時速60~600kmを計測することが可能となっている。この独特の分散型ディスプレイは、かつてロブナーが製造していたストップウオッチの意匠を彷彿とさせるデザインでもある。

ロブナーが特許を取得した“スレッジ”リューズプロテクターも、スティールレーサーを象徴する技術的特徴だ。リューズが“スレッジ”リューズガードの下に配置されており、これは機械的な負担からリューズを保護しながらも誤って時間を調整するのを防ぐ技術である。 この個性的なデザインは、かつて計時機器に使用されていた歴史的な保護ケースから着想を得ているそうだ。

機械はロブナーのために特別に開発されたスイス製自動巻きムーブメント、キャリバー6223を搭載。ロブナー独自のローターが採用され、60時間以上のパワーリザーブを備えている。ブラックとブルーの2色展開。ケースは直径42.5mm、厚さ14.3mmのステンレススチール製。風防はサファイアクリスタル製で100m防水を備える。 ダブルフォールディングクラスプ付きのスチールブレスレットが付属し、販売価格は1万3200スイスフラン(約224万7000円)だ。


ロケットマン

ロケットマンは1928年にロケットカーRAK2で世界記録を樹立した自動車のパイオニア、フリッツ・フォン・オペルへのオマージュである。 同年、オペルのロケットカーRAK3は時速256kmの記録を達成。ロブナーはこれらの壮大な世界記録樹立の際、時を刻んでいたのだ。 50本限定のスチールレーサー・ロケットマンは前段のスチールレーサーと同じ仕様だが、ケースにブラックPVD加工が施されており、ケースとトーンを合わせたマットブラックの文字盤が採用されている。 ブラックのラバーベルトが付属し、価格は1万4200スイスフラン(約241万9000円)。

スティールレーサーとロケットマンは、Löbner (ロブナー)の公式サイトとスイスの時計・宝飾品小売店ブヘラでのみ購入可能となっている。


》Löbner (ロブナー)公式サイト
https://lbnr.com/
https://www.bucherer.com/watches/brands/loebner.html


文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。

https://www.instagram.com/spherebranding/

 


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