小スライド 日本未上陸ブランド

【メタル3Dプリンティングで高級時計を製作!?】オランダの新鋭、Holthinrichs Watches(ホルセンリックス・ウォッチ)に注目

オランダを拠点とするHolthinrichs Watches(ホルセンリックス・ウォッチ)は、建築家から時計職人に転身したミカエル・ホルセンリックスによって2016年に設立された日本未上陸のマイクロウオッチブランドだ。


ミカエルの時計への情熱は、デルフト工科大学の建築学科で学んでいた時に芽生えた。 ミカエルは時計について多くのことを学び、ヴィンテージ時計の修理と販売によって学費を捻出していたそうだ。その頃、彼は自分が好きな建築のあらゆる側面を高級時計の世界に見出すことができることを発見した。 この発見は時計デザインに人生を捧げるという彼の決断につながることになる。ホルセンリックス・ウォッチを立ち上げる前の4年間、ミカエルは新しい3Dメタルプリンティング技術の探求に力を注ぎ、前例のないスケルトンケースの時計を製作していた。 この時計は時計製造において、テクノロジーが卓越したデザインを生み出すことができるというミカエルの信念を裏付けるものであり、後にホルセンリックスの特徴である彫刻的なデザインの基礎形成となるものだった。

ホルセンリックスでは建築家としての経歴を生かして、芸術品として美しく意味のあるタイムピースの製作に力を注いでおり、建築的な手首の彫刻を知的にデザインしている。 彼らの時計デザインのインスピレーションは、アールヌーボーのエレガントで立体的なフォルムや、アールデコや初期モダニズムに見られる物質主義的な表現となっている。ホルセンリックス・ウォッチでは、ミカエルと彼のチームが、高度な技術開発と徹底した手作業による仕上げを駆使しながら、独創的な時計をデザインしている。 ケースデザイン、ムーブメント部品、文字盤など、時計部品のほとんどはデルフトにあるアトリエで自社製造・開発されているそうだ。 今回はホルセンリックス・ウォッチンの最新作である“リミナリティ・シリーズ”を紹介する。


プレリナリティ

リミナリティ・シリーズは、“これまでにない希望の力”をコンセプトに時計のデザインへとイメージを具現化したコレクションだ。パラダイムを転換することで、混沌の中から新たな豊かな未来が生まれることをデザインで表現しており、ブレゲにインスピレーションを得た数字を備えたクラシックな文字盤をベースとしている。フォーマルなスタイルと保守的な洗練の絶対的な象徴であるブレゲ 数字を配した2針デザインの文字盤に亀裂が入り、ムーヴメントが覗くようにデザインされたスケルトンデザインが独創的な世界観を生み出す。丁寧に磨かれたケースとブラックロジウム文字盤の壊れた数字の残骸は、古典主義と伝統的な時計製造を表しているそうだ。ブラック・ロジウムプレートの文字盤左側にダメージ加工され、ダメージ効果をさらに高めている。


リミナリティ

シリーズ第2弾となる“リミナリティ”は前作の“プレリナリティ”で破壊した保守的な時計デザインを経て生まれた次世代のモデル。石のような粗い質感に仕上げたケースと透かし彫りの文字盤のコンビネーションが特徴で、アワーマーカーがない文字盤は火炎処理によって微妙な色合いが与えられている。プレリミナリティ、リミナリティともに文字盤に18個のブリリアントカットダイモンドがセッティングされ、時計の心臓部から放たれるインパクトを強調している。


ムーヴメントは手作業で改良されたスイス製HW-LIM(プゾーベース)を搭載。バランスホイールからは、ハンドメイドのラフなテクスチャーが溢れ出し、芸術的な造形が文字盤のデザインと調和している。 ネジには熱青銅メッキが施され、クラウンホイールはポリッシュ仕上げ、歯車には円形のシボ加工が施され、ラチェットホイールにはスネーリングパターンが施されている。


プレリナリティとリミナリティは、いずれもケースサイズ38mm、厚さ7.4mmの3Dプリントによるステンレススチールケースを採用。ホルセンリックスの時計はすべて手作りのためで、年間生産数は約100本。50%の前払いを確認したのち、完成までに約6ヶ月から約18ヶ月を要する。販売価格だが、ハイポリッシュ仕上げのステンレススチール製ブレスレットが付属するプレリナリティが 8900ユーロ(約141万9000円)。 ハンドメイドのブラックオーストリッチベルト付きのリミナリティは 8200ユーロ(約130万7000円)。


》Holthinrichs Watches(ホルセンリックス・ウォッチ)
公式サイト
https://holthinrichswatches.com/


文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。

https://www.instagram.com/spherebranding/

 


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