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【ロレックスの基礎知識】“牡蠣(かき)”を意味する3大発明のひとつとは?

A.ロレックスが1926年に開発した腕時計用防水ケース、“オイスターケース”

世の中に時計ブランドは星の数ほど存在している。歴史の長さやブランドの格でいうならばパテック フィリップを初めとする名門、雲上ブランドの名前を挙げることになるのだが、時計好き以外の一般ユーザーを含めた場合に、知名度やステータス性という面で評価するならば、やはり“ロレックス”の名前を挙げざるを得ないだろう。そんなロレックスが世界中で評価される背景には、腕時計の実用性を高める数多くの発明があるからに他ならない。その最も有名なものが“3大発明”と呼ばれる“オイスターケース” “パーペチュアル” そして“デイトジャスト”だ。今回は“オイスターケース”を改めて注目してみた。

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1920年代、いずれ懐中時計ではなく腕時計が主流の時代がくると予見していたロレックスが、真っ先に克服したいと考えたのが、時計の天敵である“水”の時計内部への侵入をどうやって防ぐかだった。そこでロレックスは、ガラス(風防)を固定させるベゼルとケースの裏ブタをネジ込み式として、ミドルケースに上下からねじ込んで密閉性を確保するという防水ケースをすでに採用していた。

しかし、時間操作やゼンマイを巻き上げるためのリューズ部分からの水の侵入が大きな壁となっていたのである。そこで考案されたのがリューズもネジ込み式にすることだった。ただ、単にねじ込むだけではない。内部にバネが組み込まれていて、ねじ込んだときに密着度がさらに強化される仕組みとしたのである。

ロレックスはこのネジ込み式裏ブタとネジ込み式リューズを採用した防水ケースを、二枚貝の牡蠣にたとえてオイスターと命名し、1926年に特許を取得。初の防水時計“オイスター”を同年発表した。このオイスターだが27年にはイギリスのドーバー海峡を泳いで横断する際に着用され防水性能を実証。世界にアピールされたことは有名な話だ。

いまでもロレックスはほとんどのモデルにこのケースを採用しており、現在すべてのオイスターコレクションは最低でも100mの防水性を実現している(写真は旧タイプのオイスターケース)

防水ケースを開発するには、優れた加工精度が要求される。そのため他のメーカーが防水性の高いケースを作れるようになったのは50年代以降。そう考えると当時オイスターケースの発明がいかに革新的なことだったかがわかる。オイスターケースは現在も進化を続けながらも採用されている。その証としてこのケースが使われているモデルには必ず文字盤上に“OYSTER”と表示されているというわけだ。

ケースを成形する方法は大別すると切削と鍛造の二つ。前者は文字どおり金属を削り出して成形するもので、後者は金属を何度もプレスして仕上げる方法。後者のほうが金属の密度が高くなるため堅牢性が増し、研磨を繰り返しても形状を保ちやすく、さらに仕上がりも美しい。そのぶんコストも掛かるが、ロレックスのオイスターケースはすべて鍛造によって作られている。

 

文◎Watch LIFE NEWS編集部

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