数年前までは二つの時間帯を同時に表示できる機械式のGMTウオッチはスイス製がほとんどで高額だった。ただ、3年ほど前にTMI(セイコー)とシチズン傘下のミヨタの2社からGMT機能を装備した日本製自動巻きムーヴメントが登場したことによって、いまでは海外・国内問わず様々なブランドから、しかも10万円未満でも買えるGMTモデルがリリースされるようになった。
ただ、この二つのムーヴメントは同じGMT機能付きながら実は操作方法に違いがあることはあまり知られていない。ここではその違いについて簡単に紹介したいと思う。
まず、最初に取り上げる上写真のスピニカーの“デュマGMTオートマティック”に搭載されているTMI製キャリバーNH34というGMT付き自動巻きムーヴメントは、第2時間帯はGMT針を直接操作して設定を行う。
つまり時分針はホームタイム(日本時間)のままでGMT針だけを移動して海外時刻を表すベゼル上の数字に合わせるというもの。日本にいて海外とのやり取りの際など、メインは日本時間で時々海外の現在時刻を確認したいという人にとっては好都合なタイプだ。そのため“オフィスGMT”とも呼ばれる。また、このタイプは比較的に安価で購入できるというメリットもある。
一方で下に掲載したアウトライン“GMT-1960”が搭載するミヨタ製のキャリバー9075は、GMT針ではなく時針を操作して設定するというもの。海外へ出張した際などに現地に着いたら時針だけを時差分移動させて渡航先の時刻を時分針に簡単に設定できる。
つまり海外旅行に適したGMTということで“トラベルGMT”とも呼ばれたりする。なお時針を操作してもGMT針には影響しないため出発地のホームタイム(日本時間)はGMT針の指し示すベゼル上の数字で常に確認できるというわけだ。ただ、高機能なぶんGMT針可動タイプよりも価格は若干高い。ちなみにロレックスのGMTマスター II はこの時針可動タイプである。
このようにどちらのタイプなのかはGMT付き自動巻きムーヴメントがどっちのキャリバーかで判別できる。機能的には同じGMTウオッチとはいえ、使い勝手がだいぶ変わってくるため、購入の際は操作法が“GMT針”か“時針”なのか、必ずチェックすることをおすすめする。
【時計】
[スピニカー デュマGMTオートマティック]
SS(46mm径)。30気圧防水。自動巻き(Cal.NH34)。7万2600円/スピニカー公式サイト https://www.spinnaker-watches.jp
[アウトライン GMT-1960]
SS(37mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.9075)。8万8000円/11月16日発売。現在ウオッチメーカーズで公開中 https://watchmakers.en-jine.com/projects/outlinegmt196
文◎Watch LIFE NEWS編集部
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