アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ロレックス
シードゥエラー Ref.1665
今回紹介するのは、1980年代に製造されたロレックスのシードゥエラー Ref.1665だ。
サブマリーナーの上位機種として1967年に発表されたモデルで、当時のサブマリーナーの約3倍にあたる610mの防水性能を実現していたとされている。さらに、シードゥエラーはヘリウム混合ガスを排出するバルブを備えることで、100mを超える飽和潜水に対応すべく開発された時計であり、ガスケットすらも透過してしまうヘリウムによる時計の破損を防ぐ工夫がなされていた。

【写真の時計】ロレックス シーデゥエラー。Ref.1665。SS(40mm径)。自動巻き(Cal.1570)。1968年頃製。349万8000円。取り扱い店/コミット銀座
ごく一般的なダイバーズウオッチを飽和潜水で使用すると、ケースや風防、リューズの隙間、あるいはパッキン素材からヘリウムガスが侵入し、浮上時の減圧によって内部の圧力が急激に上昇し、風防が破損してしまう。この問題は、潜水技術が発展し始めた1950年代に顕在化し、ロレックスも例外ではなかった。
この問題に対し、ロレックスがフランスの潜水会社“コメックス”に協力を仰いで開発を行ったのが、1967年に特許を出願した“ヘリウムエスケープバルブ”だ。同社は風防やケースの強度を高めつつも、侵入したヘリウムを排出することで破損を防ぐことに成功したのだ。
風防にはドーム型のプラスチック風防を採用しているが、従来のサブマリーナーとは異なり、サイクロップレンズがない。これは互換品に交換されているわけではなく、水圧が均一に分散されるように凸レンズを廃したものをあえて採用しているのだ。
本体のコンディションに注目すると、文字盤側にダメージが少ないものの、時分針には腐食や夜光の割れが見られるため、コンディションにこだわる人は要チェックだ。ケースはエッジなどがやや落ちている印象だが、大きなキズや打痕は確認できない。ブレスレットには目立った打痕やキズは見られず、摩耗によるへたりも見られない。
ムーヴメントには自動巻きのCal.1570を搭載。同年代のデイトジャストやサブマリーナーデイトなどに搭載され、多くのロレックスを支えた信頼性の高い名機だ。シンプルな構造ゆえに故障やトラブルが少なく、1960年代半ばから80年代までの約20年間にわたって製造されていたことからも、その耐久性と信頼性の高さがうかがえるだろう。
1点注意しておきたいのは、ヘリウムエスケープバルブ周辺のガスケットが整備されていない個体の場合、水分や湿気がケース内部に侵入する恐れがあるということ。
そのため、専門の修理業者や信頼できる時計店で整備済みの個体を選ぶことを強く推奨したい。
【LowBEAT Marketplaceでほかのロレックスの時計を探す】
文◎LowBEAT編集部/画像◎コミット銀座