様々な背景をもつゲストにスポットを当て、時計との思い出や宝物にまつわるストーリーを含めたインタビューを行いながら、それぞれの想いや価値観を紐解いていく連載企画、Time Files(タイム ファイル)。
第4回は筑波大学に通う現役大学生で、性別の垣根を超えた多様な表現を行うアマチュアモデルとしても活動する地場 亮介(ちば りょうすけ)さんをフォーカス。モデル活動をとおして伝えたいメッセージや今後の目標を伺った。
●モデル活動を始めるきっかけ
茨城県つくば市の国立大学、筑波大学の3年生である地場さん。人文科学を学ぶ大学生でありながらアマチュアモデルとして、様々な活動を行っている。
「1年生のときに大学の近くの古着屋さんでイベントを開催させていただく機会があって。そのときにたまたまお会いしたカメラマンの方にお誘いいただいて、被写体モデルとしての活動を始めました。現在はカメラマンさんの作品における被写体のほか、ホットペッパーなどのカタログ用のサロンモデルや、美容・服飾系の学校のメイクモデル・着用モデルなどをしています」
そんな地場さんのモデル活動の原点とも言えるのが、ジェンダーレスモデルの井手上獏さんと、しおさんとの出会いだ。
「中学生の頃まではまったくこだわりがなくて、髪の毛も1000円カットで適当に短くしてもらってました。別にどうなりたいとかもなくて。高校に入ってから“自分のあり方”について悩むようになったんです。そんなときにお二人のことが大好きになって。自分自身に対してなんか違うなと思っていた気持ちが晴れたというか、『あ、これかもしれない。本当はこうありたいのかもしれない』って思いましたね」

(左)モデル活動を始めた当初のお写真(©︎犬飼たかあき)/(右)ダークで中性的な世界観の1枚(©︎あいな)
「モデル活動を始めた当初はずっと自分に自信がなく、緊張してしまってカメラマンさんに迷惑をかけてしまうこともありました。なにしろ技術もなく知らないことだらけだったし、とにかくカメラに映ることが苦手だったので苦労した記憶があります」
●コンテストでの経験とかけがえのない宝物
2年生の頃には筑波大学のミス&ミスターコンテスト『TSUKUBA COLLECTION 2024』にエントリー。自身の個性を生かして見事ファイナリストの8名に選ばれるも、惜しくもグランプリ受賞には至らず。その表彰式直後の忘れられないエピソードを伺った。
「賞をいただけず応援していただいた方や自分自身にふがいなさを感じていた私に、表彰式の後に知らない方が駆け寄ってきてくれて一輪の花を渡してくれたんです。そして私の活動をとても応援してくれていたこと、すごく見た目が綺麗で素敵だと声をかけてくださいました。名前を聞きそびれてしまったので後日改めてお話しすることができなかったのですが、この花は私に“必ず誰かが応援してくれて、見ていてくれている”ということを教えてくれた大切な宝物です」

コンテスト表彰式直後のお写真。ファンの方から贈られた一輪の花は大切な宝物だという
グランプリ、準グランプリの2名は大きな花束が贈呈され、喜ばれていたのが印象に残っているという地場さん。それに対してこの花は大きな花束ではない一輪の花だが、自身にとってはとても深い意味があると話してくれた。
