先日、ロレックスが“オイスター”の100周年記念モデルとして、オイスター パーペチュアルから複数の新作モデルを発表。2026年のいま、1926年より続くオイスターケースに改めて大きな注目が集まっている。
そこで今回は、貴重な初期オイスターモデルや各資料を交えながら、オイスターケースの歴史を振り返ってみることとする。
【画像全8枚】貴重な初期モデルも!オイスターケースと開発当時の資料
●時計の天敵“水”の克服を目指して
まだ懐中時計がメインストリームだった1920年代、ロレックスはいずれ腕時計が主流になる時代が来ると確信していた。しかし、実用時計を理念に掲げる彼らの前に、大きな壁が立ちはだかっていた。それは時計の天敵である“水”の侵入だ。
当時の技術でも、ガラスを固定するベゼルや裏ブタをネジ込み式にしてミドルケースに上下から固定すれば、ある程度の気密性は確保できていた。しかし、最大の難所は“リューズ”だった。時刻を合わせ、ゼンマイを巻き上げるために穴が開いているこの部分からの浸水をどう防ぐか。これが防水時計完成へのラストピースだった。

ロレックスがオイスターケース誕生以前に採用していたネジ込み式の防水仕様ケース(イギリスのケースメーカー、デニソン・ウォッチ・ケース社製)。このケースではリューズからの浸水は防げず、あくまで防塵時計として展開されていた
●世紀の発明と、ハンス・ウイルスドルフの経営手腕
リューズからの浸水をどう防ぐか。ロレックスはこの難題を、リューズ自体をネジ込み式にするという画期的な手法で克服した。単にねじ込むだけでなく、内部にバネを組み込み、締めた際に密着度がさらに強化される仕組みを構築。1926年、ロレックスはこの防水ケースを二枚貝の牡蠣になぞらえて“オイスター”と命名し、特許を取得した。
興味深いことに、実はこのネジ込み式リューズのアイデア自体は前年の1925年にジョルジュ・ペレとポール・ペルゴによって考案されており、ロレックスの創業者ハンス・ウイルスドルフが交渉の末にその権利を譲り受けたとも言われている。防水機構をゼロから発明したというより、その価値を見抜き、製品として量産化・実用化に成功した最初の人物こそがウイルスドルフだったのだ。

クッションケースを採用した初期オイスターモデルのひとつ。コインエッジのように細かな刻みが設けられたベゼルが特徴。これはネジ込み式ケースのためベゼルをミドルケースにネジ込む際、回しやすいようにとの配慮から生まれたものだ