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【ポストヴィンテージ世代の隠れた名作?】ユリス・ナルダン サンマルコ GMTの魅力を再考する

アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。


ユリス・ナルダン
サンマルコ GMT

今回取り上げるのは、1990年代中頃から2000年代初頭にかけて製造されていた、ユリス・ナルダンのサンマルコ GMT(Ref.203-22)だ。

ヴィンテージと呼ぶにはまだ新しい部類だが、ヴィンテージの上品なサイズ感と、現代的な実用性を兼ね備えた点が魅力的な、ポストヴィンテージ世代の時計としてピックアップした。

最先端素材や前衛的な複雑時計を展開する現在のユリス・ナルダンとは打って変わって、クラシックで堅実、そして優雅な佇まいが魅力的な1本。今も昔もユニークな時計を手掛ける同社らしく、本作にも一風変わった機能が備わっている。

それが、2時位置と10時位置に配されたプッシュボタンのみで、ローカルタイム(時針)を1時間刻みで前後に調整できる画期的なGMT機構だ。複雑な竜頭操作を一切排除し、旅先での利便性を極限まで高めたこの実用的な設計は、今見ても新鮮な印象を与える。また、一般的なGMT針による24時間表示ではなく、11時位置に設けられた窓でホームタイムを表示するスマートなレイアウトを採用している点も特徴的だ。

【写真の時計】ユリス・ナルダン サンマルコGMT。Ref.203-22。SS(37mm径)。自動巻き(Cal. ETA 2892A2ベース)。1990年代製。32万8000円。取り扱い店/米田屋

【画像:クル・ド・パリ仕上げの繊細な文字盤やブレスレットの状態を見る(全6枚)

そして何より特筆すべきは、この時代ならではのケースやブレスレットの細部まで仕上げが施された贅沢な作りの良さだ。ケースやブレスレットには、近年の時計に見られる平滑面やエッジを強調したシャープさはないものの、歪みの少ない曲面加工や、着用者を考慮したエッジ部分の丁寧な面取り加工などが徹底されている。文字盤に関しても、クル・ド・パリやパールドットのミニッツマーカーなど、繊細な加工が随所に光る。

一見すると特段大きなインパクトは感じられないかもしれないが、手に取って細部のパーツやその作り込み、洗練されたデザインバランスを注視していくと、その上質な魅力がじわじわと伝わってくるはずだ。

ムーヴメントに関しては、エボーシュのETA 2892A2をベースとしているため、現代でも修理やメンテナンスを受けやすく、実用時計として十分な整備性が期待できる。

これほどの優れた外装クオリティと実用的な機構を備えていながら、時計愛好家以外での知名度が控えめなためか、現在の2次流通市場では同年代の他ブランドのスポーツモデルなどと比べて極めて現実的な相場を維持している。

“人と被らない、本当に作りの良い実用複雑時計を、賢く手に入れたい”。そんなコアな愛好家の審美眼に、これ以上ない説得力で応えてくれるサンマルコ GMT。ポストヴィンテージの深い沼へと誘う、最高の1本と言えるだろう。

 

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文◎LowBEAT編集部/画像◎米田屋

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