
非対称でふっくらした独特のケースをもつ70年代のセイコー製ダイバーズウオッチ。その第2世代となる通称2nd(セカンド)ダイバーズは冒険家である故・植村直己(1984年没)が1978年に世界で初めて犬ゾリで北極点に単独到達した際に携行した腕時計のひとつだ。
時計愛好家の間で植村ダイバーと呼ばれるその個体は、2ndダイバーズの前身となるRef.6105-8000のムーヴメントにハック機能を追加。加えてリューズガードとロックピンを改良した大型の新ケースとなって1970年に登場したRef.6105-8110である。
ただ、途中で文字盤6時位置の表記を“150m PROOF”から防水時計に関するISO規格が制定されるのに先立ち“150M RESIST”へと変更。その後に秒針の長さも短くなるなど、同じRef.6105-8110でも実は仕様違いで3種類が存在することを知っている人は少ない。
ではいったい真の植村ダイバーはどの仕様なのか。これについて去る6月に刊行した専門書「JAPAN VINTAGE SEIKO」(1万3200円)を監修した国産時計の研究家である本田義彦氏は、本書の179ページで次のように記述している。
「“植村冒険館”所蔵モデルの画像を拡大すると、秒針が長いこと、文字盤の防水表記が“150M”であることが見て取れる。つまり、植村モデルは正確には、“150M RESIST”表記の文字盤に前モデルの針を組み合わせた過渡期モデルであることがわかるのだ」
つまり植村ダイバーはRef.6105-8110の中でも、文字盤の表記が150M RESISTに変更されたにもかかわらず、150m PROOF表記時と同じ長い秒針がそのまま採用されていた、いわば移行時期にだけ存在した仕様だとしている点が興味深い。
ちなみに、トップの写真は左から前身のRef.6105-8000、改良後のRef.6105-8110の“150m PROOF”表記。そしてRef.6105-8110の“150M RESIST”表記で秒針が長い植村ダイバーと同型機である。本来Ref.6105-8110の標準仕様となる秒針が短い仕様は下の画像リンクに比較写真を掲載したのでそちらで確認してほしい。
【画像】植村ダイバー仕様と他3モデルの仕様違いを写真で比較する
セイコー 2nd ダイバーズ
(左)Ref.6105-8000。SS(41mm径)。自動巻き(Cal.6105A)。1968年製。41万8000円
(中)Ref.6105-8110 。SS(44mm径)。自動巻き(Cal.6105B)。1970年製。52万8000円
(右)Ref.6105-8110(植村ダイバー同型)。SS(44mm径)。自動巻き(Cal.6105B)。1971年。60万5000円
協力◎JAPAN VINTAGE WATCH SHOP
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