アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ポルシェデザイン by IWC
コンパスウオッチ
今回紹介するのは、ドイツの自動車メーカー“ポルシェ”の創設者、フェルディナント・ポルシェの孫である、フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェによって設立された“ポルシェデザイン”と、IWCのコラボレーションによって誕生したコンパスウオッチだ。
1980年代頃のモデルで、6時側のラグに配置されたのプッシュボタンを押すことで時計部分が開閉できるようになっており、開けるとコンパスと救急信号用の鏡が装備されている。一見すると、そのようなギミックに気づけないほど洗練された構造とスタイリングだ。

【写真の時計】ポルシェデザイン by IWC.。Ref.IW3510。アルミニウム×樹脂(39mm径)。自動巻き(Cal.375)。1980年代頃製。58万3000円。取り扱い店/BEST VINTAGE
【画像:ブレスレットや自動巻きムーヴメントの状態を見る(全6枚)】
コンパスを問題なく作動させるため、耐磁性のある特殊な硬化アルミニウム軽合金にPVD加工を施したケースを採用しているのも特徴と言える。ブレスレットはデルリン樹脂製で、軽量なケースと相まって軽やかな装着感を実現している。
高額な高級時計においてアルミニウムや樹脂といった素材を全面採用するアプローチは当時極めて異色であったが、極限の実用性と機能を追求したフィールドウオッチとしては、まさに時代を先取りした画期的な発想と言える。一方で、経年変化を受けやすい素材でもあるため、長期にわたるタフな運用までは想定されていなかったのかもしれない。
特にデルリン樹脂製のブレスレットに関しては、日常使用で容易に破損することはないものの、強い衝撃やねじれ、無理な引っ張りなどが加わらないよう配慮して着用することを推奨する。
ムーヴメントには精度と整備性に優れた、自動巻きのETA2892をベースとしたCal.375を搭載。信頼性に優れたエボーシュをベースに、IWCが入念に調整・組み立てを行っていたムーヴメントのため、デイリーユースにおける安定感も期待できる。
機械式腕時計の暗黒期とも呼べる80年代に、新たな腕時計の形を模索したIWCとポルシェデザイン。従来では考えられない素材の組み合わせやアイディアを形にした、コンパスウオッチをはじめとするポルシェデザインの時計にぜひ注目してみてほしい。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎BEST VINTAGE

