アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ロンジン
レクタンギュラー
今回紹介するのは、1930年代後半にロンジンが製造したとされる、Cal.25.17(9L)を搭載した希少なレクタンギュラーウオッチだ。角形時計の中でも、縦横の比率が異なる長方形のスタイルをレクタンギュラーケースと呼び、1920年代から30年代のアール・デコ様式の影響を受けて流行したとされている。

【写真の時計】ロンジン レクタンギュラー。ステイブライト(20×38mmサイズ)。手巻き(Cal.25.17)。1930年代製。34万1000円。取り扱い店/プライベートアイズ
特徴的なのは、ドライバーズウオッチを彷彿とさせる、6時側と比較して12時側に厚みをもたせたケースデザインで、これが装着性と視認性を向上させる役割を果たしている。ケースとムーヴメントだけでなく、Cal.25.17搭載品の特徴でもあるダストカバーにも共通の固有番号が刻印された古き良きロンジンならではの、細部にいたるまでの作り込みがなされた希少な逸品だ。
このムーヴメントは耐久性を高めた構造となっており、数ある角形ムーヴメントの中でも傑作のひとつに数えられるほどである。一般的な角形ムーヴメントでは、スモールセコンドの針を取り付けるためにムーヴメントの中心線上に4番車を配置するが、このCal.25.17では4番車をオフセットした構造を採用している。
これは、細身の角形時計として仕上げつつ、テンワをできるだけ大きくして精度も出せるように考えられた設計であり、ロンジンの技術力を感じるポイントと言えるだろう。
また、この時代では珍しいブラックギルトダイアルが個体の希少性をさらに高めている。アラビアインデックスと磨きこまれたペンシル針、シャープなケース形状のシンプルかつ絶妙なバランスがツウ好みのデザインと言えるのではないだろうか。
目の肥えたアンティーク時計好きはもちろんのこと、初心者にもおすすめしたいレクタンギュラーモデルの逸品だ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎プライベートアイズ