アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ルクルト
バンパーオートマチック
今回取り上げるのは、1950年代に製造されたジャガー・ルクルトのバンパー式自動巻きモデルだ。
その中でも、本個体はルクルトの名前のみが使用されており、当時ルクルトの名が広く知られ、高い信頼を得ていたアメリカ市場向けに製造された個体であることがうかがえる。1940年代後半から50年代にかけて、戦後の好景気に沸くアメリカでは、ロレックスのパーペチュアルに代表されるように、ゼンマイを手で巻く必要のない自動巻き腕時計の需要が高まっていた。本モデルも、そうした時代の潮流に乗るように発表されたものではないだろうか。
外装には、堅牢なねじ込み式の裏蓋を備えたステンレススチールケースを採用。加えて、視認性に優れた台形のアプライドインデックスや、夜光塗料が施された剣形の時分針など、実用性を重視したスポーティな意匠が随所に見られる。当時のアメリカ市場におけるアクティブな使用シーンを想定したデザインであったことが想像できる。
文字盤は全体が均一にエイジングし、程よい風合いのクリーム色へと経年変化を遂げている点も魅力的だ。

【写真の時計】ルクルト バンパーオートマチック。SS(33.5mm径)。自動巻き(Cal.P812)。1950年代製。39万6000円。取り扱い店/プライベートアイズ
【画像:文字盤の細部やバンパー式自動巻きのムーヴメントを確認する(全6枚)】
ムーヴメントにはハーフローターのバンパー式自動巻きのCal.P812を搭載。内部には左右約300度の範囲で半回転する錨型のローターと、それを受け止めるショックバネが組み込まれている。この構造はローターがバネに当たる際の振動や動作音が大きく、一部の消費者からは評判が芳しくなかったとも言われている。しかし、現代においてはローターがバネに当たった際に伝わる振動が、黎明期の熱量を感じさせるポイントとして人気を集めつつある。
ローターがショックバネに当たった際の反動や、わずかな動きでも作動しやすいハーフローター特有の性質により、巻き上げ効率は見た目以上に優れており、初期の全回転式ローター搭載モデルを上回る性能を持っていたとも言われている。また、構造が非常にシンプルで故障が少なく、高い信頼性を誇っていた点も見逃せない。
スモールセコンド仕様のクラシックな顔立ちでありながらも、機能性に優れた自動巻きであるというギャップがたまらない逸品である。
製造から半世紀以上が経過しているため、使用に際しては高温多湿や強い衝撃を避けて使用する必要があるものの、デイリーユースにおいては十分な実用性を発揮してくれるはずだ。アンティーク時計を探す際には、自動巻きが誕生した黎明期ならではの、試行錯誤が繰り返されたユニークな自動巻き時計も是非チェックしてみてほしい。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎プライベートアイズ
