アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
オメガ
スピードマスター 第5世代(Ref.ST145.022)
今回取り上げるのは1970年代に製造されたオメガ スピードマスターの第5世代モデルであるRef. ST145.022、通称“5th”と呼ばれるモデルだ。
現在でもオメガのアイコン的存在として君臨するスピードマスターと言えば、1962年に宇宙で使用された2ndモデルや、NASA公式装備品として認められ、69年の月面着陸時に使用されて、“ムーンウオッチ”として知られるようになった4thモデルなど、歴史的なエピソードの絶えない傑作モデルが数多く存在している。
第5世代にあたる本作は、傑作と名高いCal.321を搭載した4thモデルで採用された、特徴的なラグ形状やリューズガードの役割を持つ左右非対称のケース、タキメーターベゼルや視認性の高いデザインの文字盤はそのままに、搭載するムーヴメントを変更して量産性を高めている点が特徴的だ。
4thモデルで確立されたアイコニックなデザインはいまなお受け継がれているが、製造時期が近く、ケースやブレスレットの加工技術も大きな変化がなかったことから、その血筋が最も濃いのは5thモデルであったとも言えるかもしれない。

【写真の時計】オメガ スピードマスター。Ref.ST145.022。SS(42mm径)。手巻き(Cal.861)。1970年代製。80万9850円。取り扱い店/かめ吉
【画像:文字盤の細部の仕様やキャタピラブレスレットの状態を見る(全6枚)】
全体のコンディションに注目すると、ケースやブレスレットはポリッシュ仕上げが施されているようで、小キズや打痕があまり目立たない状態だ。とは言え、細かなキズやスレ、ベゼルのタキメーター部分のフチの剥がれやへこみが見受けられるため、コンディションにこだわる人は要チェックだ。文字盤のミニッツ目盛りの内側に段差がついたステップダイアルと、スピードマスター(Speedmaster)という表記のrの書体が下に伸びた“下がりr”仕様である点が特徴的な個体だ。
裏ブタの刻印も、シーホースとスピードマスターの名のみが刻まれた非常にシンプルな仕様となっており、スピードマスターの洗練されたデザインを引き立てている。加えて、やや伸びは見られが、ブレスレットにはキャタピラブレスが装着されている点にも注目したい。
このように、先代モデルに近い特徴を多く備える本作だが、最大の変更点は、4thモデルに搭載されていたコラムホイール式による動作制御を特徴とするオメガの名機Cal.321から、量産性を重視したカム式のCal.861へと変更されている点にある。
本ムーヴメントの設計は、Cal.321を生み出した天才設計者アルバート・ピゲが手掛けており、Cal.321の設計思想を踏襲しつつも、クロノグラフ機構の構造を簡素化することで、メンテナンス性と生産性を高めていた。また、カム式クロノグラフとしては初となるブレーキレバーを備えた設計を採用した点も特徴だ。これにより、強い衝撃を受ける環境下でもクロノグラフ針が動くことなく、カム式でありながらもハードな使用に耐えうる性能を実現していた。コラムホイール式のほうが引っ掛かりのないスムーズな操作感が良いと言われるが、Cal.861の重厚で機械的なクリック感も魅力と言える。
優れた基本設計はもちろんのこと、手巻きクロノグラフムーヴメントとしても非常に長期間にわたって生産されてきたため、価格は高騰しつつあるものの補修部品は比較的豊富に揃っているCal.861。適切な整備を施せば、いまなお現役として活躍できる十分な性能を備えている点も大きな魅力だ。
今後の維持管理の面を考慮した際にも、メーカーによる本国での整備に限らず、専門的な修理技術をもつ時計店でも修理やメンテナンスが可能である点が魅力のスピードマスター 第5世代モデルに注目だ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎かめ吉

