SEIKO が何と世界 4 位に! 世界最大の高級時計ECサイトが2021 年度上半期の販売ランキングを発表

 ドイツのカールスルーエに本拠を構える世界最大級の高級時計専門マーケットプレイス “Chrono24 (クロノ 24 )”が2021年1月1日から6月27日までの上半期に販売された時計について、その上位を発表した。さて、グローバルでは何が売れているのか、早速見ていくことにしよう。

 なお、Chrono24が扱っている時計は、新品だけでなくUSED品からアンティークまでと、いわゆる二次流通まで含んでいるため、一次流通だけのランキングとはだいぶ違ってくるかもしれない。その点を踏まえて参考にしてもらいたい。

1、ブランド別販売ランキング

 販売で最も多かった上位5ブランドは、1位ロレックス、2位オメガ、3位ブライトリング、4位セイコー、そして5位がオーデマピゲとなっている。1位のロレックスだが、全体の3割というシェア率は確かに高い数字ではあるものの、筆者の感覚からすると若干低く感じる。恐らくは現行新品だけでなくUSEDやアンティークなど選択肢が幅広いため、銘柄的にも分散した可能性は考えられるだろう。

 一方のオメガだが、資料によるとアジアでは大幅に売り上げを落としたものの、フランスやイギリスで好調だったことが第2位という結果に繋がったようだ。

 また、日本市場と比べた場合に明らかに違うのは3位のブライトリングだろうか。そして驚くのが4位にセイコーがランクインしていることだ。資料にはアメリカで40%以上も伸びたことが順位を押し上げたと記載されている。実のところ近年海外のアンティーク市場でセイコー人気が急上昇していることは時計愛好家の間でも知られていること。まさにそれを裏付ける結果となった。

2、国別販売ランキング ベスト3

 日本、香港、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスの6カ国について国別で見ると、やはりすべての国でロレックスが1位。ある意味でこの6カ国でロレックスが2位以下になることはほとんど考えにくい。今後も恐らくは変わることはないのではないか。

 ただ、2位と3位を見ると、あくまでも筆者の私見だが、なんとなく国柄が出ているようでおもしろい。なぜかというと欧米とアジア、この二つのエリアで傾向が大きく分かれているからだ。日本と香港は順位こそ違えども銘柄は同じ。オーデマ ピゲとパテック フィリップだった。これにもなんとなく頷ける。

 一方の欧米は、2位に4カ国すべてでオメガがランクインしている。ここまで欧米でのオメガ支持が高いというのはちょっと意外だった。フランスは3位にセイコーが入っている点も興味深い。アメリカに次いでフランスでも人気が高いということなのだろう。

3、モデル別販売ランキング

 モデル別に見ていくと、1位ロレックス・デイトジャスト、2位ロレックス・サブマリーナー、3位オメガ・スピードマスター、4位オメガ・シーマスター、5位ロレックス・デイトナと、ロレックスとオメガの2大ブランドが独占する。

 1位のデイトジャストと2位のサブマリーナーは2020年度のランキングでも同じ順位だった。幅広い層に圧倒的支持が高いコレクションゆえの結果と言えるのだろう。

 それにしても1から4位までは各ブランドを代表する定番モデルが並ぶ。現在の日本市場もある意味ではそうだが、堅実的なものを選ぶ傾向は世界的にも強くなっていると言えるのかもしれない。

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。