ビジネス使いでちょっと上をゆく、30万円台からの実用時計“トリカレムーン”

 腕時計は日々の生活を時間という軸で共有する重要なアイテムというだけでなく、ビジネスシーンで唯一着けられるアクセサリーとしてファッション的にも効果的なアイテムだとよく言われている。今回そんな視点から“トリカレムーン”ことトリプルカレンダー ムーンフェイズを備えた、機能的にちょっとワンランク上の時計を取り上げてみたい。

 今回ピックアップしたのは、ドイツの時計ブランドで急成長を遂げているヴェンペのツァイトマイスターシリーズに属する2種類のトリカレムーンだ。

 ヴェンペと言えば、ドイツを拠点に、ヨーロッパやアメリカで30店舗以上を展開する130年以上もの歴史をもつ老舗の高級宝飾店。それがいまではグラスヒュッテに最新のファクトリーを構え、れっきとした時計メーカーとしての顔をもつ。

 ツァイトマイスターシリーズはヴェンペが展開するコレクションのなかでも、ビジネスからスポーツラインまで幅広くラインナップする、どちらかというとスタンダードなコレクションとなる。

 特にクラシカルなデザインの充実度は高く、ビジネスユースとしての選択肢も豊富な点も大きな魅力となっている。トリカレムーンの2機種はこのクラシカルラインの中でも伊勢丹本館や銀座三越で、特に人気が高いという。

 ちなみトリプルカレンダームーンフェイズとは、一般的な日付表示に加えて曜日と月までも表示できるカレンダー機構に加えて、月の満ち欠けを表示するムーンフェイズ(月齢表示)まで備えているものを指す。そのため実用性はもちろんだが、文字盤上に様々な表示があるため見た目にもカッコよくちょっと男心をくすぐる作りだ。

 実は両者ともに、ドイツを代表する時計専門誌『UHREN MAGAZINE(ウーレン・マガジン)』で2009年と2015年にGolden Balance賞を受賞したほどの実力機なのである。

(左)2009年にトリプルカレンダー ムーンフェイズがドイツを代表する時計専門誌時計専門誌『ウーレン・マガジン』でGolden Balance賞を受賞(右)クロノグラフトリプルカレンダー ムーンフェイズも時計専門誌『ウーレン・マガジン』のGolden Balance賞を2015年に受賞する

 それもそのはず、一見するとシンプルでベーシックなデザインに感じるかもしれないが、下の写真を見ると、実はエッジの効いた針や砲弾型インデックスの造形など、パーツの一つひとつに対して細部にわたって手の込んだ作り込みがなされていることがわかる。

 さらに、裏ブタの刻印(下写真)は、一般的な薬品を使ったエッチングではなく、天文台のレリーフはプレス、ブランド名はしっかり彫り込んで作られている。ツァイトマイスターは低価格帯のものであってもすべて高級機並みに仕上げられている。

 一方、肝心の精度はどうか。ツァイトマイスターには、信頼性が高く数多くのブランドが採用するETA社の汎用ムーヴメントが採用されており、この2機種にもこれをベースにモジュールを追加するなどの改良を加えたものが搭載されている。

 ただ、汎用ムーヴメントといってもヴェンペの場合は、そのまま使用するのではなく、一度すべて分解し、クロノメーター検定に合格するレベルまでモディファイしている。つまり、実質的にはヴェンペ独自仕様のムーヴメントなのである。そのうえすべて高精度を証明するドイツクロノメーター認定を受けたムーヴメントということからもまったく申し分ないと言えるのだ。

ヴェンペはドイツ・クロノメーター検定に合格できるようするため、汎用ムーヴメントを一度分解し、独自のモディファイを加えたのちに再度組み立てている

 そして、これだけのクオリティを備えながら、トリプルカレンダー ムーンフェイズにおいては30万円台。一方のクロノグラフ機構付きモデルでさえも50万円台と、多くの機能を備えながら、頑張れば手の届く価格設定となっている。このコストパフォーマンスの高さも人気を押し上げている大きな要因となっていることは言うまでもない。

 そのためなのだろう。近年は結納返しとしても他の人気ブランドを抑えて需要が伸びているという。そんなトリプルカレンダー ムーンフェイズを、ぜひ一度実機を手にとって、その品質の高さを実感してみてほしい。

トリプルカレンダー ムーンフェイズ

Ref.WM35 0001。SS(42mm径)。3気圧防水。自動巻き(ETA2892-A2ベース)。39万9600円

 12時位置の小窓に月と曜日、文字盤中央の数字を専用の指針で指し示すポインター式日付け表示を備えたトリプルカレンダー機能に加えて、月の満ち欠けを表すムーンフェイズを6時位置に備える。

クロノグラフ トリプルカレンダー ムーンフェイズ

■Ref.WM53 0001。SS(42mm径)。3気圧防水。自動巻き(ETA7751ベース)。57万2400円

 12時位置の小窓に月と曜日、文字盤外周の数字を専用の指針で指し示すポインター式日付け表示。加えてクロノグラフを搭載する。12時位置に30分積算計、9時位置には12時間積算計と24時間計、そして6時位置にムーンフェイズ付きのスモールセコンドと、これだけ多くの機能を搭載しながらも50万円台と圧巻のコストパフォーマンスを誇る。

ブランド創立10周年記念として限定リリースされた
ヴェンペ初のアニュアルカレンダー

Ref.WM69 0003。SS(42mm径)。3気圧防水。自動巻き(ETA2892-2ベース)。世界限定100本。130万6800円

 上記二つのトリプルカレンダー機の上位機種に当たるのが、2016年にヴェンペ創立10周年記念として発表されたアニュアルカレンダーである。アニュアルカレンダーとは、大の月(31日)、小の月(30日)を自動で判別してくれる優れた機能をもつカレンダー機構のことだ。つまり2月以外は月末にカレンダーを調整する必要がなく、とても便利な機構である。

 このアニュアルカレンダー、世界限定100本という希少モデルながら、いまならまだ購入可能とのこと。ワンランク上の機種をお望みなら、このアニュアルカレンダーという選択もいいのではないか。100万円台前半という価格面からしても一考の価値は十分あるだろう。

文◎菊地吉正(編集部)/協力◎シェルマン(TEL.03-5568-1234)

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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