「そう言えばあったなぁ〜」。2000年代初頭に注目された懐かしの時計たち。

 筆者が総編集長を務める高級腕時計の専門誌のひとつ『パワーウオッチ(POWER Watch)』が創刊したのは2001年11月である。ちょうど高級機械式腕時計が復権を果たし、新たに中国を含むアジア圏の巨大マーケットが台頭してきたことによってスイス時計産業も右肩上がりに売り上げを伸ばすなど、まさに時計バブルの様相を呈していたそんな時期だった。

 そのため当時発表される新作には技術力の高さを誇示するものや独創性に富んだものなど多岐にわたっていたため、新作が発表される時期がくるとワクワクしながら発表を待っていたという記憶がある。今回はそんな2000年代前半に販売されたモデルのなかから筆者が印象に残っている腕時計、3モデルを取り上げたいと思う。

コルム バブルコレクション|まさに時計バブルを象徴する個性派

バブル バット。Ref.082.157.49.0F01.BATR。SS(45mm径)。200m防水。自動巻き。2005年リミテッドエディション

 誕生は2000年。かつてグッチの時計部門にいたサリバン・ワンダーマンにより生み出され、コルムのイメージを一新したという斬新なコレクションだ。何といっても特徴は厚さ11ミリを誇るドーム型のサファイアクリスタル(トップの写真参照)を備えた個性的なフォルム。さらにそんな個性的なフォルムにぴったりの斬新な文字盤デザインを採用、遊び心満載の世界観を余すところなく表現し、当時人気を博した。

 バブルコレクションは、ラインナップのほとんどが限定モデルで、ここに取り上げた“バブル バット”は2005年限定のコレクションである。これ以外にも、毎年個性的なデザインを数多く発表しており、そのユニークさや独創性からコアなファンが多かったことも事実だ。気になる人は、どんなモデルがあるのか調べてみるといいだろう。ちなみに当時のモデルのユーズド実勢価格は20万円台〜40万円台。

 なお、サリバン・ワンダーマンがコルムを去った2006年以降は、バブルコレクション自体がラインナップから姿を消してしまったが、コルム創業60周年記念として2015年に復活を遂げている。

IWC GSTクロノ・オートマティック PRADA|プラダとのコラボで実現した洗練クロノ

GSTクロノ・オートマティック PRADA 。Ref.3708-002。SS(40mm径)。120m防水。自動巻き。USED。世界限定2000本

 このGST クロノ・オートマティック PRADAは、プラダグループのヨットチーム、ルナ・ロッサ艇が2003年に世界最高峰のヨットレース、アメリカズカップへチャレンジすることを記念して誕生した。

 ベースモデルは、当時人気の高かったIWCのGST クロノ・オートマティックだ。通常、9時位置にあるスモールセコンドを廃してすっきりと仕上げながら、モノトーンのカラーリングにビビッドな赤をアクセントにあしらうことでプラダらしい艶っぽさやモード感を表現。

 シックで質実剛健な印象のクロノグラフにファッションメゾンらしい洗練された雰囲気をプラスしている。世界限定2000本と、限定モデルにしては数が比較的豊富で希少性はそれほど高くはないが、生産終了のGSTシリーズの人気も後押して、いまなお人気は高い。現在のユーズドでの実勢価格は40万円前後。

カルティエ パシャ・オリジナル38㎜ N゜950クロノグラフ|プラチナベゼルの希少モデル

パシャ・オリジナル38㎜ N゜950クロノグラフ。Ref.W3105155。Ptベゼル×SS(38mm径)。自動巻き

 2005年に生産終了となってしまったカルティエのパシャ・オリジナル 38㎜。ダイバーズウオッチのように回転ベゼルを装備し、カボションカットされたサファイアがあしらわれた独特のリュ−ズカバーを備えるなど、カルティエを代表するメンズラインとして人気を博したモデルだ。

 このN゜950クロノグラフは、そのパシャ38㎜シリーズの派生モデルながら、2001年から一定期間だけ製造された珍しいモデルなのである。

 基本デザインは一緒なのだが、回転ベゼルにプラチナ素材を使い、リューズカバーのカボションもブラックセラミックに変更されモード感を強調。しかも、当時レギュラーラインでは展開されていなかった黒文字盤が採用された。

 このN゜950にはクロノグラフのほかにグリッドタイプの3針とパワーリザーブの3タイプがラインナップされていた。最近はユーズド市場でほとんど見かけなくなったようだが、実勢価格は40万円台といったところだろうか。

Amazonなど電子書店にて販売中の『レアもの図鑑』アーカイブス Part.1~2[合本版](シーズ・ファクトリー刊)

 なお、本誌のパワーウオッチでは、ここに取り上げたモデルのように2000年代に入ってからリリースされたモデルで、現在は生産を終了している、ちょっと珍しい時計を2008年から毎号取り上げている。

 そしてこの度、66号にわたって掲載された66本を1冊にまとめた電子BOOK『レアもの図鑑』を刊行させていただいた。2008年5月発売の第40号から2019年5月発売の106号までの実に11年もの間、計66回にわたって連載されていた人気コラム。もちろんここに取り上げた3本も含めて、懐かしい時計を取り上げているので、そちらもぜひ見てほしい。

Amazonなど電子書店にて好評販売中『レアもの図鑑』アーカイブス Part.1~2[合本版] 550円

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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