【セイコー5、オメガ、タイメックス】60年代〜70年代の名盤レコードとリンクする、私的な“アンティークウオッチ”3選

名盤レコードにちなんで、独断でアンティーク時計を紹介

 日が短くなり、街路樹が徐々に紅葉していく季節。そろそろ冬の準備に取り掛かる人も多いのではないだろうか。暖かい服装で外に出かけるのもいいけれど、暖かい家の中で過ごしながら、昔からの親しんできたレコードとの再会を楽しむのにも最適な季節といえる。

 今回は、私のお気に入りのレコード(時には “ワックス “と呼ばれることもある)とともに、そのレコードと同時期に発売されたアンティーク時計を紹介していこうと思う。

《マーティン・デニー – The Versatile Martin Denny》

 南太平洋の島々を連想する曲を数多く生み出したマーティン・デニー。1911年にニューヨークで生まれ、後に“エキゾチカの父”と評されるようになる作曲家、ピアノ奏者である。 彼の音楽キャリアは80年代まで続き、エキゾチックなパーカッションやポピュラーな曲をアレンジしたもの、ティキ文化を称えたオリジナル曲など、ラウンジ・ミュージックを世界中で演奏した。基本的に10人以上のビッグバンドで南太平洋、オリエント、ラテンのリズムなどのエスニック・スタイルを組み合わせたものだった。

 『Exotica』『Quiet Village』『Exotica II』などのアルバムで成功を収めたのち、63年に『The Versatile Martin Denny』をリリース。ジャズ:“Night In Tunisia“、ボサノヴァ:“Quiet Village Bossa Nova”や“Exotique Bossa Nova”、さらには坂本九の名作”SUKIYAKI (邦題:上を向いて歩こう)”のエキゾチックなピアノ・ヴァージョンまで、多彩な楽曲に取り組んでおり、後に日本のあるバンドにも影響を与えたとされている。

 このレコードに合わせて選んだのは、68年製のオメガ・ダイナミックである。 この時計は41mmの手巻き時計で、その絶妙なケース形状に加えて、シルバー/ブラウンの文字盤、ホワイトの時針と分針、オレンジの秒針を特徴としており、時計全体のデザインとレコードジャケットのデザインカラーがマッチしている。


《クラフトワーク – The Man-Machine》

 エレクトロニック・ミュージックの創始者と呼ばれることも多いクラフトワーク。1970年にドイツのデュッセルドルフで結成され、最初の創設者はラルフ・ハッターとフローリアン・シュナイダーだった。

 70年代初頭に西ドイツの“クラウトロック”シーンの一翼を担い、シンセサイザー、ドラムマシン、ボコーダーなどを使った電子楽器で構成された独自のサウンドを徐々に形成。 70年代から80年代後半にかけて9枚のレコードをリリースし、多くのヒット曲を生み出している。
『The Man-Machine』はクラフトワークが78年にリリースしたレコードで、“The Model” 、“The Robots” そして “The Man Machine” などの代表作を収録。メンバーが赤のボタンシャツに黒ネクタイを着用し、赤い口紅をつけているレコードジャケットデザインが印象的である。78年にドイツでリリースされたオリジナル盤は赤色のレコードであった。

 クラフトワークは真のイノベーター、パイオニアである。彼らの足跡をたどると、 YMO、Depeche Mode、Human League、Pet Shop Boys、Daft Punkなど多くのグループに影響を与えており、ポップ・ミュージックへの影響力はビートルズに匹敵すると言えるかもしれない。

 このレコードに合わせて選んだ時計は、70年代に発売されたセイコー5。黒の文字盤とレトロなテレビ型ケースが特徴となっており、全体的にシンプルなデザインだが、黒文字盤と白い針がレコードジャケットの色合いとマッチしている。耐久性のあるステンレススチールケースとブレスレットは、クラフトワークのミニマルで力強いサウンドともシンクロしている。


《イエロー・マジック・オーケストラ- Yellow Mag-ic Orchestra》

 最後に紹介するのは、Yellow Magic Orchestra(YMO)。 YMOは1978年に東京で結成され、エレクトロニック・ミュージックの分野で最も影響力のある革新的なグループの一つと考えられている。 シンセサイザー、サンプラー、シーケンサー、ドラムマシン、コンピューター、デジタル録音技術のパイオニア的存在である。

 YMOは8枚のスタジオ・アルバムをリリースし、多くのライブ・アルバムやコンピレーション・アルバムもリリースした。 78年のデビュー・アルバム『Yellow Magic Orchestra』は、マーティン・デニーの同名曲をリメイクした”Firecracker”をはじめとする名曲が多く収録され、日本ではアルファ・レコードから、欧米では79年にA&Mレコードからリリースされた。

 “Firecracker” はアメリカでもヒット曲となり、“Computer Game Theme From The Circus”とともにリリースされ、40万枚以上のセールスを記録。 このアルバムの成功により、YMOはアメリカでも人気を博し、80年にはおそらく日本からのグループとしては唯一、音楽番組『ソウル・トレイン』に出演した。このレコードには“Firecracker”以外にも “Simoon”, “Cosmic Surfin”, “Yellow Magic (Tong Poo)”, “La Femme Chinoise”などの名作が収録されており、 ポップス、ヒップホップ、ヘヴィメタルなど、音楽ジャンルを超えて、数え切れないほどの日本人ミュージシャンに影響を与えた日本発の先駆者3人による不朽の名盤といえる。

 ちなみに、YMOのメンバーである坂本龍一は、前述したクラフトワークに強い影響を受けており、70年半ばにバンド仲間の細野晴臣と高橋幸宏に彼らの音楽を紹介したとされている。

 坂本龍一はクラフトワークが81年に日本でツアーした際に、YMOのメンバーで彼らのライブに行ったことをインタビューで語っている。ライブ後にクラフトワークのメンバーをディスコに連れて行ったそうだが、ラルフとフローリアンは、ステージ上と同じようにロボットのような腕を振るダンスをしていたようである。

 この名盤に合わせて選んだのは、YMOの結成年でもある78年に製造されたタイメックスの手巻時計。 32mmケースで文字盤にはカブスカウト・オブ・アメリカのエンブレムがデザインされている。YMOの頭文字が“黄色”であることに加えて、レコードジャケットのカラーリングと見事にシンクロしているのがセレクトのポイントだ。


文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。

https://www.instagram.com/spherebranding/

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